日蓮宗新聞
2004年12月1日号
聖教殿のお風入れ
千葉県市川市の大本山中山法華経寺(新井日湛貫首)で11月3日(文化の日)、日蓮聖人のご遺文を格護する聖教殿のお風入れが行われ、『立正安国論』『観心本尊抄』(ともに国宝)をはじめとする多くの貴重なご真筆が、訪れた500人以上の参拝者に展観された。
聖教殿は、毎年、文化の日の晴天日に開扉され、格護されるご真蹟の点検とお風入れが行われるが、昨年・一昨年は雨天のため中止。今年は朝から爽やかな秋晴れとなり、2年ぶりの開催ということもあってか、訪れた多くの参拝者はこの日を心待ちにしていた様子だった。
聖教殿入り口では中尾堯立正大学名誉教授が参拝者の行列に向かって、丁寧に解説を行っていた。中尾教授は「文字をよくご覧下さい。日蓮聖人がご配流地の佐渡でお書きになられた『観心本尊抄』には重厚な厳しさが、信徒に向けて書かれたお手紙には優しい心配りが感じられます。こうした筆の動きの中に現れる聖人の闊達なご性格、情熱と信仰のお姿を是非、味わってほしいと思います」と繰り返し語りかけ、参拝者は熱心に耳を傾けていた。
拝観を終えた参拝者からは、「『立正安国論』のどっしりとした文字に日蓮聖人の信念の強さを感じました。感動です」(72歳男性)、「近所に住んでいます。家のベランダから聖教殿が見えるので、一度入ってみたいと思い、子ども達を連れて来ました。日蓮聖人の大きなお人柄に触れた思いがして、ありがたい気持ちになりました」(30代女性)といった声が聞かれた。
法華経寺聖教殿
法華経寺境内にある日蓮聖人のご遺文・ご本尊その他聖教類を格護するための庫蔵。昭和6年竣工。建築様式は、東洋建築・社寺建築の第一人者であった伊藤忠太博士がインドの宝塔に範をとって設計した堂々たる建造物。法華経寺・日蓮宗宗務院(岩間湛正宗務総長)・法華会(高宮正理事長)の三者によって管理されている。
127先師に回向 池上本門寺で追悼法要
東京大田区の大本山池上本門寺(酒井日慈貫首)で11月16日、第34回宗門先師追悼法要が営まれた。平成15年10月1日から平成16年9月30日までに宗務院に遷化の届けが出されたのは127師。当日は71遺族、91人が参列し、宗門発展のため尽力した先師に回向を捧げた。
法要は午前11時から池上本門寺本殿で、日蓮宗管長名代として酒井貫首を導師に、上田尚正宗会議長、井出存祐第二部審査会長を副導師に岩間湛正宗務総長、宗務内局、宗務所長、遺族ら約120人が参列。
法要中、岩間総長が追悼文を読み上げ、読経の中、遺族らが香を手向けた。続いて127先師一人ひとりの命日、俗名、法号が読み上げられると、遺族たちは一段と深く頭を垂れ、冥福を祈っていた。
その後、朗峰会館で斎の席が設けられ、岩間総長が「宗門の発展と寺門興隆のために一生を捧げ、尽くされた方々の意志を受け継ぎ、日蓮宗、お寺を立派に発展させて頂くよう命じられたと思っています」と話し、先師の増円妙道を祈念した。最後に遺族代表として三重県の森政顕師が挨拶し、終了となった。