日蓮宗新聞
2003年8月10日号
「大聖恩寺」が再建、落慶法要
ヨーロッパ開教の中心として、また諸宗教対話を目的に3年前にドイツ・ヴィッパーフュート市に建立され、昨年6月6日に放火によって全焼した大聖恩寺(竹内日祥理事長・大阪妙見閣寺住職)の本堂再建落慶法要が7月17日、身延山久遠寺法主・藤井日光猊下名代の井上瑞雄総務を導師に営まれた。ご宝前には奇跡的に無事だったご本尊が掲げられ、日本からの僧侶檀信徒ら113人と現地の市長、郡長、市民ら72人の参列者は、約1年で復興、再建された仏のご加護に手を合わせた。
大聖恩寺の本堂再建落慶法要は午後1時にはじまり、散華のなか式衆、井上導師らが昇堂する姿に、参列者は目を奪われていた。法要が始まると、皆一心に手を合わせ、落慶を迎えることが出来た喜びをかみしめた。
法要中、井上総務は表白文を読み上げ、藤井法主猊下が大聖恩寺の火災を知ったときに両眼に一杯の涙を浮かべて悲しまれたこと、ご本尊が無事だったことは仏祖のご加護があることを証明していると竹内師を励まし、感激した竹内師が再建の決意をしたことを述べた。
法要後の挨拶では井上総務が「大聖恩寺が目的とする宗教対話は、異なる宗教が対話を通し、相互に学び合う事の必要性と、その価値について究明し、異宗教の相互協力を通し社会貢献をすることです。この悲願を実現させるために協力をお願いします」と挨拶。日蓮宗宗務院藤崎一明伝道局長の祝辞を今井真行国際開教課長が代読し「日蓮宗の“環境・平和・いのち”の尊重という布教方針は法華経の思想そのものです。このことは全世界へ発信されなければなりません。宗門のヨーロッパ開教の拠点として、また国際交流の場として尽力してほしい」と述べた。
続いてギド・フォルスティング市長がベルギッシュ・グラートバッハ郡の紋章を手渡し、オーバーベルギッシュ郡のカウゼマン郡長、ヴァチカン諸宗教対話省次官のフェリックス・マチャド氏、ボン大学名誉教授のカール・C・シュバイツァー教授が挨拶した。
最後に、復興に対しドイツで尽力を注いできた大聖恩寺副理事長のシュテフェンス・祥馨法尼が「火災から落慶に至るまで、仕事ずくめの1年でしたが、希望と確信に満ちた1年でもありました。私が皆さまから頂いたご助力を、少しでもお返しできればと思っています」と落慶の喜びを述べた。
本来、法要には大聖恩寺の名誉理事長で、3年前の落慶式の際に導師をつとめた藤井日光身延山久遠寺法主猊下がご臨席を強く熱望しておられたが、6月にハワイ開教の式典に出席され、そのお疲れが十分に癒されるには、今年95歳のご高齢には少なからず無理があるという、側近の判断によって渡航を断念なさった。
2003年8月1日号
「日蓮宗加行所」再建の上棟式 千葉・中山法華経寺
日蓮宗の僧侶が祈祷法の伝授を受けるため、厳寒期に100日間の錬行を行う「日蓮宗加行所」再建工事上棟式が7月3日、千葉県中山法華経寺で営まれた。
再建されるのは修行僧の寮で、初行(初めて入行する修行僧)と伝師部(行僧の訓育及び修法相承に関する行儀を行う僧侶)が入る「本棟」と再行(入行2回目の修行僧)以上の僧侶が入る「先輩棟」。この2棟は、100日間の読経を行う中堂をはさんで建てられ、渡り廊下でつなげられる。
上棟式は先輩棟で営まれ、新井日湛貫首を導師に、関観康師(東京・徳大寺住職)、渡辺行俊師(正中山奥之院住職)、渡辺貞観法華経寺執事長を副導師に、立教開宗750年慶讃会の田澤元泰事務局長や渡辺照敏千葉北部宗会議員、法華経寺総代や工事関係者が参列。式中、井田法良全国修法師連合会副会長が修法導師をつとめ、連合会常任理事ら10人が出仕して修法が営まれた。コンクリートの堂内には、力強い読経の声が響き渡った。
その後、客殿で祝宴が行われ、新井貫首が「怪我や病気がないよう、知恵を出し合い、立派な加行所にしていきたい」と挨拶。
続いて、田澤事務局長が「全国の修法師を中心に加行所再建に対する勧募が集まっている。このことは上棟と同じ、象徴的なものだと感じます。無事に再建事業が進められ、宗門としても感謝しています」と祝辞を述べた。
全国の修法師が念願し、宗門が慶讃事業として進めてきた、「加行所」の再建円成に一歩近づいた。加行所の完成引き渡しは、平成15年度加行所入行前の10月20日を予定している。