2023年10月1日号
龍口法難会・4年ぶりの牡丹餅供養に沸く
神奈川県藤沢市本山龍口寺で9月12日、第753回龍口法難会が行われ、本堂内桟敷からの「牡丹餅供養」が4年ぶりに行われた。
日蓮聖人が文永8年(1271)に龍口法難という、同地で斬首を免れた故事にちなんだ「難除け牡丹餅」と呼ばれる牡丹餅が、本堂天井近くに設えられた特別桟敷から撒かれる行事で、4年間待ちわびた多くの参拝者が効験を得ようと両手を大きく広げた。
牡丹餅は、鎌倉時代の手法そのままに、講中が手作りしてきた。今年は、牡丹餅講橘結社を中心に、龍口寺の檀信徒や地元有志など約50人が前日から約80㌔分の牡丹餅を準備した。講元の髙橋政幸さん(72)は、「久しぶりに賑やかでとてもうれしい。高齢化で次の世代への継承が心配だが、自分の親たちが伝統をつないできたのを見て育ったように、次の世代にもつないでいきたい」と意気込みを語った。
参道は露店が並び、夜には21講中約600人が万灯奉納を行い、参道や境内は熱気にあふれた。
龍口法難は、日蓮聖人が遭われた四大法難の1つ。牡丹餅供養は日蓮聖人が幕府に連行される途中に桟敷の尼が黒胡麻のぼた餅を供養した故事に由来する。