日蓮宗新聞

2023年9月1日号

東京・千鳥ヶ淵戦没者追善供養営む

千鳥ヶ淵法要② 修正日蓮宗宗務院が主催し、毎年終戦記念日の8月15日に営まれる「千鳥ヶ淵戦没者追善供養並世界立正平和祈願法要」が、今年も東京都千代田区の千鳥ヶ淵戦没者墓苑で営まれた。同墓苑は日中戦争と太平洋戦争の国外戦没者のうち、身元不明や引き取り手のない遺骨を安置するために昭和34年に国によって創設され、現在37万485柱の遺骨が収められている。日蓮宗では創設以来欠かすことなく、終戦記念日に大曼荼羅御本尊を奉安してすべての戦没者を慰霊する法要を営んでいる。
法要は田中恵紳宗務総長の名代・柳下俊明伝道局長が導師を務め、東京4管区宗務所長が副導師を務めた。例年は4管区の声明師会や修法師会の僧侶も出仕する法要となるが、台風7号の接近が予想され、その進路によっては同日の墓苑の緊急閉苑の可能性があったため、規模を縮小し導師と副導師の計5人による法要となった。柳下局長は表白文で「諸霊に報いる道は無念を晴らすことにあらず、万霊が命を賭して祈りを求めた身心安穏なる世界平和をこの土に築き上げること」とし、立正安国実現を誓願した。
法要後に柳下局長が田中総長の挨拶を代読し、「(戦争で)失われた命の1つひとつには、それぞれの生活があり、歩むはずの未来があり、帰りを待っていた家族がいたことを忘れてはならない」と戦禍の風化を戒めた。また私たちが生きる日常は戦禍の犠牲となった先人の命によって紡がれた有り難い時間の積み重ねにあると自覚し、人の本来の他者を敬い慈しむ姿に立ち返ることで世界平和が実現されるとした。これを受け同墓苑奉仕会理事長の塚田章氏が挨拶に立ち、参列者への謝辞とともに同会の慰霊奉賛に向けての思いを語った。
鴨田貴之さん(70)は10年ほど前からこの法要への参列を続ける。きっかけは、昭和20年の東京大空襲で叔母が犠牲となり、遺骨のないままに葬られた出来事を母親から聞かされたことにある。遺骨すらなかった妹の不憫を悲しみ続けた母親、その一方で引き取り手がなかった遺骨。この2つが結びついて参列を続けているのだという。「戦争は絶対だめです。また来年も来ます」と話して会場を後にした。
台風の接近が予想されるなかで営まれた今年の戦没者慰霊法要。主管する宗務院伝道部は、長年続く行事に毎年参列する檀信徒がいることや、戦没者慰霊の思いを風化させぬよう、開催に向けさまざまな事態を想定して準備してきた。近年ではコロナ禍や熱中症が懸念される時期の開催となるため、積極的な参列の呼びかけは控えているが、動画によるライブ配信など新たな取り組みなども手がける。運営に関わる職員の1人は、「毎年8月15日を同墓苑だけではなく、全国の檀信徒がそれぞれの菩提寺や自宅の仏壇の前で平和へのお題目を唱える日になれば」と話した。

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新年のご挨拶。

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