日蓮宗新聞

2023年6月1日号

日蓮聖人ご入山750年宗門法要営む

 山梨県総本山身延山久遠寺で日蓮聖人ご入山750年宗門法要(日蓮宗主催)が5月17日、菅野日彰管長猊下を大導師に営まれた。文永11年(1274)に鎌倉で幕府に3回目の諫暁をされるも受け入れられなかった日蓮聖人は、「三度国をいさむるに用いずば、山林にまじわれ」という故事に倣い、同年の同日に身延山に入られた。
 法要に先立ち、全国日蓮宗青年会(以下=全日青)の青年僧侶266人が総門から菩提梯を経て本堂までの唱題行脚を行った。全日青は、配流を赦免された日蓮聖人の佐渡からの帰鎌途次の拠点行脚や11日に鎌倉を出発し、リレーしながら16日に身延山まで踏破する行脚を行っていた(関連記事2面)。当日は、若い僧侶が大行列しながら、エネルギッシュなお題目を聖なるお山にこだまさせた。終点場所となった本堂前では、自ら「97歳の青年僧」とおっしゃる内野日総法主猊下がご自身のことのように青年僧をお迎えになられ、労いのお言葉をかけられた。佐渡や鎌倉からの行脚に参加した全日青の結集担当委員長の豊田英証師は「1人では難しいことも、仲間の助けがあれば乗り越えられることを実感しました。この行脚が世の中へのメッセージになればいい」と話した。
 本堂には千葉県本山藻原寺に格護される日蓮聖人ご入山2ヵ月後に揮毫された曼荼羅ご本尊(通称「無量世界本尊」)が奉掲された。中尾堯立正大学名誉教授によると同本尊は伝授を目的として揮毫されたものではなく「身延山常住の本尊」としての意味を帯びていると解説されている。
 内野猊下、田中恵紳宗務総長をはじめ参列した全日青会員僧侶、全国からの僧侶檀信徒の代表者ら約600人が参列し、お題目を唱えるなか菅野猊下が入堂された。ご宝前で深々と頭を垂れられ、参列者とともに法華経の読誦を始められた。また華やかな雅楽が鳴り響いた後、表白文奉読で菅野猊下は日蓮聖人の苦難のご生涯を述べられる途中、ご入山とご開創を含む身延山でのご安寧の日に思いを致され、お言葉を詰まらせられた。またご遺文から「日蓮が弟子檀那等はこの山(身延山)を本として参るべし」と読み上げられ、「祖山に詣でて祖廟に給仕し、うちには地涌の菩薩の自覚を深め、そとに向かっては但行礼拝の実践を全うし、濁世末法の世に仏国土の様相を顕現せし、浄業をご照覧あらんことを」と日蓮宗徒の本分を述べられた。
 続いて田中総長が「〝いのちに合掌〟の言葉のもと一切衆生の仏性を深く敬い、寛容と和合の精神で人類の協和を増進し、立正安国に寄与する菩薩行に励む」と誓願文を奉じた。唱題では全日青僧侶が行脚で用いた太鼓を打ち鳴らし、本堂天井画の墨龍がなくがごとくお題目が響き渡った。
 お経頂戴をされた菅野猊下は「身延山の霊気が日蓮聖人のみ心に適い、自らの墓を建てることや未来までも魂はここにある、とおっしゃられましたが、身延山でのご生活は隠棲ではなく、常にお心は世界、日本に向き、人びとの平穏を祈られる日々でした。このお心を歴代法主猊下をはじめとして身延山は受け継いできました。しかし、世の中は自分さえよければ良いという心で各地で争いなどが絶えません。これは目には見えない大きな力を信じる宗教心の欠如が原因ではないでしょうか。現代において立正安国を目標とする私たち日蓮門下の責任を自覚しなければなりません」と話された。
 持田日勇久遠寺総務の挨拶では、柔和忍辱の心からなる相手を理解し尊重し、いたわる大切さを日蓮聖人棲神の霊地・身延山で得てほしいと伝えた。
 清宴では内野猊下が菅野猊下らに謝意を表した後、「若き日蓮宗僧侶の熱気あふれるお題目がこだまし祖山の新たなスタートを迎えられ、法悦を感じています。全国の皆さまのおかげで、この50年で五重塔創建など身延山は劇的な発展を遂げました。立正安国に向けてさらなる皆さまのご支援を心からお願いを申し上げます」とお言葉を述べられた。

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新年のご挨拶。

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