2022年7月1日号
近江八幡市の光となるお寺目指して
日蓮宗唯一の門跡寺院・滋賀県近江八幡市瑞龍寺で第16世詫間日郁師の晋山式が5月22日に営まれた。宮内庁京都事務所の石原秀樹所長や田中恵紳宗務総長をはじめ、僧侶檀信徒約170人が参列し、約10年ぶりとなる女性門跡の誕生を祝うとともに同寺の発展に期待を込めた。
詫間師の晋山にあたって数々の改修工事が行われた。そのうちの1つ、新緑に包まれ漆黒が映える山門から稚児とともに詫間師が行列を行った。詫間師のための赤い大傘を担当した孫の金沢玲太朗くんは、祖母を誇らしげに見ながら練り歩いた。
オペラ歌手・有賀圭子さんの国家独唱で始まった法要は6人の女性僧侶が式衆として出仕し、女声の声明や読経が皇室を表す菊紋・十六葉八重表菊がある堂内に響き渡らせた。田中総長からの住職辞令伝達、京都市大本山本圀寺の早川日章貫首からの払子継承を受けた詫間師は、歴譜に自身の名を染筆。門跡として初めての給仕となる霊膳供養を捧げた。奉告文で詫間師は、晋山にあたり困窮の思いがたくさんあったと告白するも、廃仏毀釈を信仰心で乗り越えた第10世日榮比丘尼の覚悟を自身に投影し、「瑞龍寺を守るべきが己の使命」と想い至ったことを述べた。
祝辞に立った石原所長は「瑞龍寺が京都村雲の地を離れてまもなく60年が経とうとしていますが、皇室との親しいつながりは今も続いています。心からのお祝いを申し上げます」と話し、田中総長は「女性ならではの心配りと優しさをもって布教伝道に尽力をお願いします」と伝えた。詫間師は式後、「女性僧侶が集まり、近江八幡の光となるお寺にしたい」と抱負を語った。