2020年11月1日号
第739回日蓮聖人お会式・池上本門寺
日蓮聖人ご入滅の地・東京都大田区の大本山池上本門寺で第739回のお会式が、10月11~13日に行われた。今年は新型コロナウイルス感染拡大予防のため、毎年12日のお逮夜を賑わす万灯練供養が中止となり、法要と参拝のみでしめやかに行われた。
◇150年の伝統続けたい
12日の午前には菅野日彰貫首猊下を導師に、宗祖御更衣法要が営まれた。今年も東京都と神奈川県の檀信徒を中心に組織される武相御召講が、大堂(祖師堂)に奉安される日蓮聖人像(国重要文化財)の羽二重のお着物を献上した。
お召し替えは読経が大堂に響き渡るなか厳かに行われ、夏衣を纏われていた日蓮聖人像は冬衣をお召しになられた。法要後、菅野猊下は「今日まで続く奉納は誠に尊いことです」と感謝の言葉を講中に贈られた。
江戸中期に組織された武相講は明治の始めに紀州徳川家から夏と冬のお召衣の奉納を引き継ぎ、昨年で奉納150年を迎えた。冬御召服講の渋谷榮一講長は、コロナ禍での無事の奉納に安堵の表情を浮かべたが、「講員が少なくなってきた。150年の伝統を後世につなげることが私の役目」と課題も話す。
また4年前に檀家総代などが寄進した日蓮聖人像の七条袈裟と紫の本衣が、今年は檀信徒の寄進により新調された。今までお着けになられていた七条袈裟と本衣は25枚の経本袋となり、4年前の寄進者に授与された。弘安5年(1282)にご入滅された日蓮聖人の第7回忌に彫刻された尊像がお召しになられていた袈裟で作られた信仰の証となる経本袋を寄進者は、うやうやしく拝受した。
万灯行列は中止になったものの、11~13日まで約40講中が本門寺を参拝し、静かに報恩感謝を捧げていた。
◇1400輪の会式桜咲く
ご命日の13日朝には臨滅度時法要が営まれた。毎年、足の踏み場もなくなるほど、全国からの檀信徒で埋められる堂内は、密を避けるために約60人の参列者のみとなった。
法要に先立ち、本門寺学監の山口顯辰師が日蓮聖人のご生涯を口演。参列者は法華経弘通に生きられた日蓮聖人へ思いを馳せた。
法要中は、日蓮聖人がご入滅された午前8時頃に高弟の日昭上人が鐘を打ち鳴らしたという故事に倣い、菅野猊下が臨滅度時の鐘の音を静寂の堂内に響かせられると、約1400輪のお会式桜(造花)に囲まれた参列者は頭を垂れ静かにご遺徳を偲んだ。
池上本門寺では新型コロナの感染拡大防止のため、参拝経路をはじめ、密にならない参拝方法を考え今年のお会式を開催した。今回の方法の見直しや改善を踏まえて、正月行事で再び参拝者を迎えたいとしている。