2017年4月10日号
東日本大震災第7回忌法要・東北教区主催
東北教区(阿部是秀教区長)主催の東日本大震災第7回忌法要が3月30日、宮城県七ヶ浜町七ヶ浜国際村で営まれた。阿部教区長は「時間がいくら経っても、悲しみは消えない。亡くなった方々と残された方々へのいのちに合掌して、祈り続けてほしい」と力強く述べ、参列した僧侶檀信徒約500人が犠牲諸霊鎮魂の祈りのお題目を捧げた。
法要に先立ち、一部は解除されたが、今も原子力発電所事故で帰還困難区域に指定される福島県富岡町の妙栄寺総代・三瓶一義さんと岩手県釜石市の宿泊所・宝来館女将の岩崎昭子さん(岩手県本行寺檀徒)らの講演が行われた。岩崎さんは6年経った今も被災者は誰かが祈っていてくれることを心の支えにしていると語り、「震災や犠牲者、被災者を忘れず、祈りを」と切願した。
法要は、曼荼羅御本尊と陸前高田市松原の流木から造立された一尊四士像が舞台正面に安置されるなか、追悼和讃の奉唱で静かに始まった。小林順光宗務総長が追悼文を読み上げると、参列者は一尊四士像の背後に広がるガラス越しの海を前に一心に合掌した。また加行所伝師を務めた工藤堯幸師を中心に修法が行われ、諸霊位の追善と復興祈願もなされた。
宮城県の日野教恵宗務所長は、「海を見ると辛い思いをする檀信徒がまだいるが、経験を伝え続け、後世の人たちのいのちを守ることが私たちの務め。そして、辛い思いを持ち続ける人たちが前を向くために、お題目の祈りが必要」と語った。
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法要で安置された一尊四士(釈迦如来と四菩薩)像は大阪府本山妙國寺の岡部日聡貫首が「陸前高田の松原の流木から仏像を」と発願したもので、京都伝統大学工芸大学校の仏師・須藤光昭師を中心に学生30人らが制作した。寄木造りの漆塗古色仕上げ5体のうちの釈迦如来像は台座含め約3㍍の高さ。法要前日に同寺で開眼された後、七ヶ浜に運ばれた。当日、遷座に協力した学生らとともに参列した須藤師は「ただ一心に掘った。誰かの笑顔につながればうれしい」と述べた。また強運の松が安寧と幸せをもたらすことを願い、制作時の木片からお守りと腕輪数珠が造られ、参列者に贈られた。