2016年2月10日号
日蓮聖人の故郷で青年リーダー研修
日蓮宗宗務院主催の檀信徒青年リーダー研修が1月23、24日に千葉県鴨川市大本山誕生寺(石川日命貫首)と大本山清澄寺(二宮日敬別当)で開催された。檀信徒のリーダーとなる人材育成を目的に開かれた研修会には、意欲ある檀信徒19人が参加。日蓮聖人がお生まれになり、出家得度や立教開宗された地で、安穏な社会づくりへの意識を高めた。
誕生寺での開会式後、上村貞雄師(両親閣妙蓮寺住職)と誕生寺檀信徒の漁師・斉藤静江さんの案内で妙の浦や蓮華ヶ淵など約2時間散策。参加者は日蓮聖人にまつわる話に興味深く聞いていた。続いて今年第750遠忌を迎える日蓮聖人の聖母・妙蓮尊儀が祀られる妙蓮寺で上村住職を導師に法要が行われた。
清澄寺では、地方再生の手腕を高く評価され、スーパー公務員として知られる高野誠鮮師(石川県妙法寺住職)から「魅力の見出し方について」「リーダーとして求められる行動力・発想力」と題した講義を受けた。高野師は整っていない環境で行動を起こし、過疎化する村をいかに再生していったかを例に、「魅力」の引き出し方について講じた。そしてリーダーに必要なのは、相手が喜ぶことを考え行動する「利他」だと説いた。また日蓮宗檀信徒のリーダーとして、日蓮聖人の精神や理念を引き継ぐことを期待した。
講習後の意見交換会では、参加者の自己紹介と活動報告が行われた。若い信徒青年で結成される京都府法華寺菩薩団(守岡悟会長)の3人が灯火会(送り火法要)の手伝いや、団体参拝、教区・管区の研修会への積極的参加、被災地支援、万灯講の結成などの活動を報告した。お寺と檀信徒が協力して地域を盛り上げる青年会の好例に参加者は熱心に耳を傾けていた。
2日目は、佐々木教道師(千葉県妙海寺住職)が「地域のお寺の活性化について」講義を行った。佐々木師は地元の産業を活かそうと、昨年のB級グルメ大会グランプリの勝浦タンタンメンの開発や、地元食材をアピールする場として寺市の企画、また心と体を整える学び舎にする「まちのお寺の学校ネットワーク」の企画・運営の活動事例を挙げ説明。「地域で学びたい人と教えたい人に提供できる場所が、信頼のあるお寺」とお寺が持つ魅力を伝え、そのなかで「地域と同じ目標を持つことが大事。そして個人が役割を持ち、一人ひとりが元気になれば地域全体もお寺も元気になる」と話した。
最後にグループに分かれ、初日の誕生寺散策をモデルケースに、何を活かせばアピールできるのかを話し合った。日蓮聖人ご誕生の地というストーリーがある強みや案内板の設置、地元でしか知られていない情報の共有・発信など多くの意見が出された。その後の意見交換会では、それぞれが行っている活動の悩みなど講師へアドバイスを求めると、講師ほか僧侶がアドバイスした。
2日間の講習を終えた参加者の口々から、「行動を起こさなければ何も変わらない。失敗を恐れず、行動したい」との声が聞かれた。