2015年7月10日号
身延山主催・第10回南方慰霊大法要
総本山身延山久遠寺(内野日総法主)主催の第10回南方慰霊大法要が6月24日に、米国サイパン島で営まれた。終戦70年の節目に行われた団体参拝には定員を超える89人が参加した。太平洋戦争中、昭和19年(1944)の米軍上陸後、サイパン、テニアン島にいた旧日本軍約3万人と民間人約1万人のほか、米軍らあわせ計約7万人が命を落としたという。参加者たちは改めて戦争の英霊や民間人犠牲者へ慰霊のお題目を唱えた。
大法要に先立ち、島北部のスーサイドクリフ(自決の崖)で中部太平洋戦没者慰霊碑開眼法要が内野法主猊下名代の井上瑞雄総務を導師に営まれた。スーサイドクリフは敗色が濃厚となった多くの日本軍人や民間人が米軍の投降勧告に応じずに身投げし、自ら命を絶った場所。身延山では終戦70年や慰霊法要が10回目の節目を迎えたことで、若い世代に慰霊活動が受け継がれることを願い、戦没者供養のための慰霊碑の建立を発願した。法要後、井上総務は「このお題目が刻まれた慰霊碑が、中部太平洋諸島の戦没者の供養となることを願います。そして若い世代が慰霊活動を行うことで、世界平和実現のための原動力にしてほしい」と挨拶した。
大法要は、同島日本軍最後の司令部跡地・ラストコマンドポストで井上総務を導師に営まれた。同地はサイパン島で最後の組織的な戦闘が行われた場所で、参列者は今あることに感謝し、戦没者の苦しみを少しでも慰めるためのお題目を、汗を流しながら唱え続けた。井上総務は再び挨拶にたち、「戦没者の慰霊は、いくらしてもし尽くし得ない」と述べ、声を詰まらせた。また「もう2度と戦争をしてはならない、という非戦の誓いを心に刻み、今後も戦没者への慰霊を続けていかなければならない」と決意を表した。