日蓮宗新聞

2013年1月1日号

ことぶき法話

平成25年(2013)の新春、どのように迎えられたでしょうか。
昭和でいうと今年は88年米寿の年、まさに「昭和は遠くなりにけり」であります。
かく云う私も今年70の齢を迎えますが、よくぞ自分を産み育ててくれたものだと、今更のように亡き両親に感謝をしております。
人は、勝手に生まれてきたのではない、仏さまの慈悲によって両親の肉体を通し、この世に生を与えていただくものだと思います。与えられた命なのです。
日蓮聖人が、身延山から千葉県中山の信徒、當木常忍へ宛てたお手紙[ 『忘持経事』の一節に
我が頭は父母の頭
我が足は父母の足
我が十指は父母の十指
我が口は父母の口なり
譬えば種子と菓子と身
と影との如し
とありますように、深い深い縁によって結ばれ、切っても切れない絆があるのです。
だからこそ、私たちは与えられた命に感謝し、その命を繋いでいかなくてはなりません。どのように生きていけば良いのでしょうか。
「成仏」という言葉があります。これは亡くなってから仏になるということではないのです。「成仏」とは仏に成ると書きますが、お釈迦さまは私たち人間に、生きているうちに仏に成りなさいと説かれているのです。
これがなかなか難しいことであり、云うは易く行うは難しでありますが、常日頃から優しい心を持ち、いつも笑顔を絶やさずに、相手を敬い、人の心の痛みを自分の心の痛みとして捉え、嬉しいときはともに喜び、悲しいときはともに悲しみ、少しでも、欲望(貪)や怒り(瞋)そして愚痴(痴)の心を抑え、相手の心の癒しとなれるように接して、仏さまのように生きていくことなのです。このような心を世界の全ての人々が持てたとするならば、この世から争いというものは無くなるでしょうし、人が人の命を奪うことも無くなる、本当の立正安国の世界に成ることでしょう。
と同時に、私たちは大自然の中に生かされています。大自然の恩恵がなければ私たちは生きられないのです。私たちに生・老・病・死の世界があるように、大自然の中にも、生きとし生けるもの全てに、生・老・病・死があるのです。人間のそれとは違うかもしれませんが、大自然の人間に与える影響は大きいものです。何億年以上も前に誕生した地球に、人間が生きていくための要素があり、何も言わずにじっと私たちの生きざまを見続けてきているのです。
自然を大切にすれば優しく、又、理不尽に自然破壊をすれば、時には厳しく牙を向けてくるときもあります。大自然の恐怖に人間は立ち向かうことはできないのです。ただ人間には知恵があります。仏さまに育てられた知恵を、大自然に感謝をしながら働かせて生きていかなければなりません。
鎌倉時代の日蓮聖人は、大自然の天変地夭に対しても、また人間界の他国侵逼に対しても、ただ一心に人々の安穏を願うがために、仏さまからいただいた知恵、日本一の知者として「南無妙法蓮華経」と唱え、仏さまのご加護を請うたのです。
さて、毎年のことですが、いや毎日、新しい朝を迎えるたびに、今日も生かさせていただいていると思います。昨日の続きの今日ではない、新しい今日なのだと思うようにしています。
「諸行無常」という言葉があります。全ての有様はいつも同じではない、一刻々々変化をしている、ということであります。そしてその一刻々々の変化が現実の有様「諸法実相」なのです。だからこそ、日々が大切なのです。
私たちには必ず、死という来世に生まれ変わるときが来ますが、その時に、良い人だったね、惜しい人を亡くしてしまったねと、惜しまれて旅立っていけるよう、「南無妙法蓮華経」のお題目に、仏さまにその身を委ね、日々の生活を大切に生きていきたいものであります。
私たちの生きているこの世界は、苦悩の多い娑婆世界でありますが、それは仏さまが私たち人間に与えてくださった試練なのでありますから、その試練を乗り越えて生きる努力をし、お互いに敬いの心で、安穏な社会づくり、人づくりをしようではありませんか。
合掌

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新年のご挨拶。

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