日蓮宗新聞

2013年1月1日号

新春のご挨拶

妙とは蘇生の義なり

内野日総 日蓮宗管長(総本山身延山久遠寺法主)

平成25年の新春を迎え、本紙読者各聖各位に、年頭のご挨拶を申し上げます。また、平素は、宗門並びに祖山に対し、種々、ご丹誠をいただき、衷心より厚く御礼申し上げる次第であります。
一昨年に起こった東日本大震災は未曾有の災禍を招き、本年は三回忌を迎えますが、いまだに、その影響は続いており、被災者の皆さまの苦しみ悲しむそのお姿、荒廃する被災地域、胸が締め付けられる思いで一杯です。その苦難が、一刻も早くまた、僅かでも、取り除くことができ得ますようお祈り申し上げます。
さて、昨今の世界情勢は、経済・外交など、世界が揺れています。政治は右往左往するばかりで、社会は混乱を生じ、人々は、物価・医療・福祉・教育を始めとする社会生活全般に対して、極度な不安を感じており、報道もまた、この不安を一層煽動しているかのようであります。また、収まることのない自然災害など、安心できる状況ではありません。
日蓮大聖人が、文永3(1266)年正月6日、御年45歳にて安房国(千葉県)清澄寺においてご撰述になった『法華題目鈔』の中で、
「妙とは蘇生の義なり。蘇生と申すはよみがえる義なり」
と、お示しです。
妙法蓮華経の妙の字は、一切をよみがえらせる功徳があります。この妙法蓮華経は、運命の黒雲を吹き払う風となり、暗い道では灯となり、越えがたい宿命の川では船となり、逞しい生命の活力となるものです。
また、本年の干支は「癸巳」であります。この年は、…時機をはかって新たな出発を迎える…年であるといいます。
年が改まるという清新の好季に、私たちひとりひとりが、自ら生まれ変わった気持ちとなって、一筋の真心で南無妙法蓮華経と唱えましょう。これが、私たちの新しい力となることでしょう。運命を明るく開くこととなりましょう。
そして、自分ばかりか、世界中の人々が、笑顔で安楽に暮らせる社会が来るように、法華の信奉者として、この社会づくりを目指して努力精進していきましょう。
このことこそ、今、宗門で提唱しています「立正安国・お題目結縁運動…敬いの心で安穏な社会づくり、人づくり…」であります。この運動は、日蓮大聖人が身命を賭してお示しになった「立正安国」のご精神によるものであることはいうまでもありません。
ところで、本年は、小松原法難750年、佐渡阿闍梨日向上人第700遠忌、大覚大僧正妙実上人第650遠忌、などのご正当年に相当しておりますので、 日蓮大聖人や、弘通に挺身された先師のご薫陶に想いをいたし、一筋の真心に徹し、南無妙法蓮華経と唱えていきたいものです。
日蓮大聖人が、霊山浄土を感得された身延山より、本年が、皆さま方にとりまして、平安で光輝ある一年となりますようお祈り申し上げます。
結びに、本年もまた、宗門や祖山に対し、本紙読者各聖各位の絶大なるご支援・ご協力をお願い申し上げ、意を尽くし得ませんが、ご挨拶といたします。

 

但行礼拝の精神が肝要

渡邊照敏 日蓮宗宗務総長

平成25年癸巳新春を迎え、貴家の弥栄とご家族皆様のご多幸を祈念申し上げます。本年も、全日蓮宗徒の皆様と、異体同心の祖訓を体して、開かれた明るい宗門、風通しの良い宗門とするべく努めていく所存であります。
さて、世界中を震撼させた「東日本大震災」から早2年になろうとしております。ここに改めて犠牲となられた方々のご冥福をお祈り申し上げる次第であります。
そしてこの大震災に付随して発生した、東京電力福島第一原子力発電所の事故による放射性物質の飛散や汚染は、収束の糸口を見いだすところか、様々に問題を発生させ、私たちの生活に深刻な影響をもたらし続けております。宗門といたしましても、一刻も早く安心して生活ができるようになることを心から念願しております。
また現今の世情を顧みますと、戦争やテロリズム、更には様々な自然災害などによって多くの尊い命が奪われております。
そのような中で、私たちは、今一度「いのち」の尊さ、大切さを見つめ直し、今生かされていることに感謝することこそが最も重要であると強く感じる次第であります。
現在宗門では、宗祖御降誕800年を目途とする宗門運動「立正安国・お題目結縁運動」を、「いのちに合掌」というスローガンのもとで展開しており、本年4月からは第二期育成活動の3年目に入ります。すべての人々が安穏に暮らせる社会の実現に向け、全国の寺院・教会・結社を始め、教師・檀信徒の皆様方と手を携え、邁進していきたく存じております。
育成活動では、「社会活動の推進」・「次世代の育成」・「災害復興支援活動」を活動項目として立てておりますが、常不敬菩薩の但行礼拝の精神に則ることが肝要と心得ます。まずは、敬いの心で合掌すること、一人ひとりが合掌する心構えが大きな力となるでしょう。これによって、日本はもとより世界の恒久平和へとつながっていくことを確信しております。
宗祖日蓮大聖人は、法華経弘通のご生涯の中で幾多の法難に遭われました。大難四ヶ度、小難数知れずと言われておりますが、度重なる法難に遭われる中で、大聖人は法華経の行者としての自覚を深められたのであります。そして数ある法難の中でも、本年は、小松原法難750年の御正当の年にあたっております。
文永元年、大聖人は、「日蓮悲母をいのりて候しかば、現身に病をいやすのみならず、四箇年の寿命をのべたり」(『可延定業御書』)と示されているように、御母君の病を見舞われた後、地頭 東条景信の襲撃に遭い、聖人御自ら眉間に三寸ほどの傷を負ったと伝えられています。
本年11月11日には、本山 鏡忍寺におきまして、日蓮宗管長 内野日総猊下を御導師にお迎えして、日蓮聖人小松原法難750年宗門法要が厳修されます。
この法要により私たちは、日蓮大聖人の御苦難を偲ぶと同時に、法難に殉じた御弟子 鏡忍坊日暁上人、並びに大檀越 工藤吉隆公に報恩の誠を捧げ、更には、大聖人の誓願を改めて確認し、地涌の菩薩の自覚のもと、未だ法華経に縁無き人々に結縁していくことこそが最も重要でありましょう。
日蓮宗徒一人ひとりが「いのち」に合掌し、お題目結縁により仏縁を広め、安穏な社会の実現のため、共に歩みを進めていただけることを願い、年頭の挨拶といたします。

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新年のご挨拶。

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