2012年3月1日号
大本山中山法華経寺 日蓮宗加行所成満会
156師 寒壱百日間の苦修錬行
日蓮宗の布教伝道の一翼を担う相伝の秘法である修法を授かるために、11月1日から千葉県市川市の大本山中山法華経寺(新井日湛貫首)に開設される日蓮宗加行所(太田順道伝師)。2月10日、寒壱百日間の苦修錬行を積んだ僧侶156師が晴れて成満を迎えた。この日を待ちわびていた寺族・檀信徒約5,000人が見守る中、平成23年度日蓮宗加行所成満会が祖師堂で営まれた。
日の出前の午前6時。太田伝師に続き、第5行の全堂代表・藤浩一師(愛知県浄蓮寺住職)が東日本大震災犠牲者と銘が記された白木の位牌を抱きかかえて結界修行の境界である瑞門をくぐった。今年度の加行所は人々へ福徳力を授けるための修行に加え、震災犠牲者の冥福を祈る修行ともなった。
成満会では、凛とした立ち姿の加行僧が力強い読経と修法の木剣を堂内に響かせた後、渡邊照敏宗務総長と加行所伝主である新井貫首が挨拶。渡邊総長は「檀信徒のみならず未信徒への教化活動、更には日蓮聖人の誓願である一天四海皆帰妙法の原動力となることを期待します」と述べた。また太田伝師が加行僧を労い、「入行時に預かった社会的地位・名誉・自由をお返し致します」と宣言し、最後に藤師が「社会の第一線でこの恩に報い、人のために尽くすことを自分の悦びとする」と誓った。
再行を成満した吉村是修師(山梨県鏡圓坊住職)を出迎えた総代の佐野謹三さんは「住職は単身で修行をしたけれど、心は私たち檀信徒も一緒に修行をしていました。住職の代わりにお寺を守ることに苦労もしましたが、今ははればれとした気持ちです。まずはご苦労さまと声を掛けてあげたい」と笑顔で語った。
