2012年1月20日号
恒例の御年頭会
共に生き共に栄える平安で光り輝く年に(内野法主猊下)
日蓮聖人が身延ご入山の翌年、建治元年(1275)に始まる御年頭会が1月13日、総本山身延山久遠寺(内野日総法主)で古式ゆかしく営まれ、渡邊照敏宗務総長や六老門跡寺院貫首、全国からの僧侶檀信徒約450人が参列した。
御年頭会は直弟子や久遠寺開基檀越の波木井実長公らが正月に日蓮聖人のご草庵を訪れ、年頭の賀詞を申し上げた故事に由来。熊王丸がくつわをとる駿馬にお乗りになり、波木井公の邸に招かれた日蓮聖人は雅楽や弟子の舞などにお慶びになられたと伝えられている。
雅楽が祖師堂内に響きわたり、内野法主猊下を導師に法要が厳修された。その後、祖師堂前で曳馬式が行われ、内野法主猊下が2頭の馬に人参をお与えになり、優しく馬をなでられた。祝賀宴では渡邊宗務総長が東日本大震災の犠牲者の冥福と被災地の早期復興を願った後、「社会や苦悩する人々に宗門が積極的に関与し、宗祖の立正安国の精神を体現していくことが肝要」と述べ、「心新たに皆さま方と共に法華経と宗祖のみ教えに心と体を一つにして、皆帰妙法の誓願行に全力を注ぎます」と宗門と祖山久遠寺の隆昌を祈念した。六老門跡代表の静岡県本山妙法華寺貫首の小池日恩師は、祝辞の中で大震災復興や地球温暖化などの環境問題に触れ、「宗教関係の各宗派が連携を強め、それぞれの檀徒や信徒の皆さまに働きかけて行けば、大きな“うねり”を作ることができると確信しております。日蓮宗はその原動力として、持続可能な社会の構築の先頭に立ち活動することが、宗門運動の本旨にも叶うもの」と述べた。
御杯の儀が行われた後、内野法主猊下は「被災地の苦悩は私たちの苦悩であり、私たちの試練の超克でもあります。このことは取りも直さず、ひとりではないということを感ずることであり、これを本年の指標としたく、年頭に際し“共に生き共に栄える”としたためました」と参列者に言葉を贈られ、「本年が平安で光輝ある一年となりますようお祈り申し上げます」と新年のお言葉を結ばれた。
熊王家の熊王彰夫氏の御膳献上などが行われた後、京都市本山本満寺貫首の伊丹日章師と信徒代表の堀内光雄氏が祝辞。最後に久遠寺の井上瑞雄総務が2月21日に東日本大震災一周忌法要を同寺で営むことを報告した。