2010年6月10日号
中央檀信徒研修道場開催 “お題目の心”身につけて
「平成22年度第1回日蓮宗中央檀信徒研修道場」が6月1日から3日まで、京都大本山妙顯寺(南條日慈貫首)で開催され、全国から31(うち女性13人)が行学の二道に励んだ。檀信徒研修道場は、宗門運動推進のため檀信徒の研修推進、信行者の養成を目的としておかれている。
京都では初めての開催となる今回、主任講師は鈴木浄元師(神奈川県蓮久寺住職)、講師は山本光明師(北海道龍王寺住職)が担当した。
開講式で関谷泰教伝道局長は「道場清規しんぎ(道場内でのルール)にあるように、社会のさまざまな垢を捨て去って謙虚な気持ちで修行に励んで下さい」と激励。南條貫首は「知識ではなく信仰心、“お題目の心”を身につけて下さい」と述べ、最後に大阪府清普寺檀徒が宣誓を行った。
仏前作法を学んだ後、鈴木師が法華経の基本を解説。山本師はご遺文、特に『立正安国論』について講義した。
南條貫首は法話で「人間はみな同等。だから私は精一杯真心を込めて自分の思いをお伝えします。法華経の方便品に“唯仏与仏”とあるように、私と仏とは一対一。真心を忘れてはいけません。自分の身体は永遠なる父母の連続を証明する祭壇なのです」と説いた。
法座の時間には参加者の自己紹介があり、1日目の日程が終わった。
2日目は5時に起床。本堂で朝勤の後、原光司執事長の説明で妙顯寺宝物殿を拝観した。直に目の当たりにする文化財に、参加者からは驚嘆のため息がもれていた。
バスで比叡山・横川定光院(藤井照源主監)へ。約30分の山道を唱題行脚しながら、日蓮聖人のご遊学時代に思いを馳せた。
ご開帳の後、藤井主監が「日蓮聖人はこの地で12年間研修され、釈尊出世の本懐(釈尊がこの世に出現なされた真意)が法華経にあることを悟られました。延暦寺の根本中堂には1200年続く“不滅の法灯”があります。我々も“油断”せず、お題目の心を次世代につなげていきましょう」と挨拶し、唱題行が行われた。山深い静けさの中、それぞれの思いを込めた唱題の大音声がこだました。
午後は比叡山延暦寺で根本中堂を参拝。大講堂で法要の後、鈴木師が延暦寺から数々の名僧が輩出された歴史と背景を解説した。
妙顯寺へ戻り、山本師の高座説教。総本山身延山久遠寺の菩提梯が造られた経緯を述べ「正しい教えと心で正しい行いをすれば、必ずみごとな花が咲きます」と説いた。
最後の法座では、各自の体験や感想を語りあい、信仰をともにする仲間同士、親交を深めた。
3日目、京都本山本法寺(大塚日行貫首)でご開帳の後、大塚貫首の解説で宝物殿を拝観した。
閉講式で南條貫首は「もうあかん、という時にこそ法華経が世界を救います。その手助けをするのがあなたたちです」と今後の活躍を期待。鈴木師は「敬いの心で世界平和につながる生活をしていただきたい」と激励し、山本師は「我々は異体同心。ともに菩薩行を行じていきましょう」と締めくくった。
「お題目の心」がテーマだったといえる今回の研修道場。信仰をともにする仲間こそ、心の荒んだ現代に求められているのかもしれない。