日蓮宗新聞

2010年1月1日号

ことしは寅年

信心の一念で困難を乗り越える一年に

 

今年の干支「寅」に因み、「トラ」が登場する日蓮聖人のご遺文を紹介します。
『摩訶止観』第八に云く、「弘決第八に云く、必ず心の固きによりて、神の守り則ち強し」云云。神を護ると申すも、人の心の強きによるとみえて候。法華経はよき剣なれども、使う人によりて物を切り候か。(中略)
李広将軍と申せしつはものは、虎に母を食れて、虎に似たる石を射しかば、其の矢羽ぶくらまでせめぬ。後に石と見ては立つ事なし。後には石虎将軍と申しき。
貴辺も又かくのごとく、敵はねらふらめども、法華経の御信心強盛なれば大難もかねて消え候か。是につけても能く能く御信心あるべし」
『四條金吾殿御返事』(『昭和定本』1610~2頁)
日蓮聖人が57歳の10月、大檀越・四條金吾さんへ宛てたお手紙です。
武士でしたが、医術にも長けていた四條公はこの月、自邸のある鎌倉から遙々身延の日蓮聖人を訪れ、病苦に悩まれる聖人に投薬治療を尽くしました。お手紙にはこのことに対するお礼と、旅の途中には命を狙う敵もあろうと四條公の身の上を案じたお言葉、そして「これからはめったなことでは身延へお越しなされぬが

よい」との文が綴られ、前掲のご文章へと続きます。
日蓮聖人ははじめに天台大師が著わされた『摩訶止観』にある「心が堅固であれば、神の守護も厚い」との言葉を引き、「神の守護は人の心の強さによります。法華経は強い剣ではありますが、その切れ味は使う人によるものです」と説かれ、中国の故事を引用されています。ここでトラが登場します。
母をトラに襲われて亡くした中国前漢時代の将軍・李広は、トラを敵と討ちました。すると矢は命中。矢羽まで深く突き刺さりました。ところが李広がトラと思ったのは、トラに似た石だったのです。石と気づいたのちは、再び矢が刺さることはありませんでした。こののち李広は石虎将軍と呼ばれるようになったのです。
“一念を込めて物事をなせば、どんなことでも叶う”という意味の「一念岩をも通す」「一念天に通ず」「石に立つ矢」などの諺は、この石虎将軍の故事から生まれたものです。
日蓮聖人はこの故事から、四條公に「法華経の信心さえ強盛であれば、いかに敵が狙っても襲撃を免れることができるから、信心が第一です」と諭されています。
なんと勇気の湧いてくるお言葉でしょうか。信心さえあれば、どんな困難も乗り越えることができるというみ教えです。
何事も心の持ちようです。自分のおかれている環境は自分の心の鏡と肝に銘じ、お互いに法華経の信行に励みましょう。そうすればきっと、釈尊や日蓮聖人に思いが通じ、心の充実が得られる1年間になるはずです。

 

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