2009年8月10日号
若い世代へ『未来発信のつどい』
『立正安国論』奏進750年の記念行事
750年前、日蓮聖人が国を諫めるために『立正安国論』を奏進したご正当の7月16日、将来を担う若い世代を対象とした「未来発信のつどい」が、東京・品川区の立正大学石橋湛山記念講堂で行われた。参加した立正中学・高校と東京立正高校の生徒約600人は、小松浄慎宗務総長を導師に未来への誓いと祈りを捧げ、御法川法男氏の熱い講演に耳を傾けた。
このつどいは、6月に神奈川県・鎌倉と千葉県・中山で営まれた宗門法要、また、立正大学で行われたシンポジウム『立正安国論を現代に』の一連として開催された、奏進750年の記念行事。「立正」を学校名に学ぶ生徒を“主役”に、生徒全員で綿密なリハーサルを行って式に臨んだ。
午後1時半、生徒2人の司会で開会。はじめに齊藤憲一宗務院伝道部長が「日蓮聖人が未来へのメッセージとして書かれた『立正安国論』を未来永劫忘れないように、皆さんと共に世界へ未来へ発信したいと思います。皆さんの学校名にある“立正”は、正しい教えを信仰してどんな困難にも負けずくじけず、輝いて生きてほしいというメッセージです。これから皆さんと唱えるお経がその教えです。この法要を機に仏さまの子としてイキイキと生きていってください」と挨拶を行った後、『立正安国論』奏進の背景をわかりやすく説いたスクリーン映像を鑑賞した。
続いて導師の小松宗務総長、式宗の日蓮宗宗立学寮生が入場し「未来発信の祈り」が営まれた。冊子を手に全員でお経を唱え、生徒代表がご宝前で献灯・献華・献香を行った。起立、唱和、合掌など生徒たちの動作はぴったり息が合い、清々しい空気が会場を包んだ。
法要の締めくくりには全員が起立し「私たちは日蓮聖人の願われた立正安国の教えを未来に、世界に、伝えることをみ仏に誓います」と唱和。小松宗務総長が「この時に当たり、我らお題目の光を未来永劫に掲げ、世界の人々を永遠に導き、浄土の世界をこの娑婆世界に顕現することを誓い、祈り奉る」と、祈りの言葉を読み上げた。
法要後、神奈川県川崎市にある日蓮宗安立寺(木田隆進住職)の総代である、御法川法男氏が講演。会場後方の扉から御法川氏が姿を現すと会場は大きな歓声に包まれた。御法川氏は「今の日本と日蓮聖人が『立正安国論』を奏進した時代はどこかつながっているように感じる」とし、母子手当、政党助成金、後期高齢者、臓器移植などの問題を取り上げ、「世の中の現状を分かってほしい。日本がこれからどうなるのか、これらの問題の一つでも真剣に考えてみること」と訴えた。
8月30日に迎える衆議院総選挙についても触れ「日本を動かす人を選ぶ選挙。皆さんの周りにいる大人がどのような選挙をしているのかよく見てほしい」とし、「日蓮聖人は聞いている人がいようがいまいが、辻々に立って説いて歩いた。国を憂うとはどんなことか、政治家の皆さんにも知ってほしい」と述べた。
また、御法川氏は、お弁当を手に遠足気分でお墓参りに行ったこと、境内が小さい頃の遊び場であったことなど思い出話を交え「多忙な日々の中でも夜中にお墓参りに行きます。先祖の墓石を見てると、その時々の解決策が見えてくるような気がするんです」と話していた。