2009年8月1日号
『立正安国論』奏進750年記念
日蓮と法華の名宝
―華ひらく京都町衆文化―
10月10日から11月23日まで
京都国立博物館
『立正安国論』奏進750年を記念して10月10日から11月23日まで京都国立博物館で開かれる「日蓮と法華の名宝―華ひらく京都町衆文化―」(主催=日蓮聖人門下連合会、京都国立博物館、日本経済新聞社、京都新聞社)の記者発表会が7月2日、東京・千代田区の日本外国特派員協会で行われ、日蓮聖人門下連合会の小松浄慎理事長(日蓮宗宗務総長)、日本経済新聞社の山脇晴子文化事業局長、京都国立博物館学芸部の大原嘉豊研究員、尾野善裕工芸室長が会見した。
同展では、国宝『立正安国論』(千葉県大本山中山法華経寺蔵)をはじめ、京都国立博物館の事前調査による新出作品や多数の初公開作品、並びに京都日蓮諸宗の16本山の寺宝を中心とした国宝4点と重要文化財約50点を含む200点あまりが展観され、町衆文化の形成に果たした日蓮諸宗の大きな役割が紹介されることが明らかになった。
小松理事長は主催者を代表して「この展覧会を通し、日蓮聖人と京都町衆との関わりを皆さまに知っていただきたい」と挨拶し、平成15年に東京国立博物館で行われた「大日蓮展」の入館者16万人を上回る来館に期待した。
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展覧会の構成は、第一部が伝統的な法華経文化を継承するとともに日蓮諸宗独自の宗教文化を形成する過程を通観する「法華文化の展開」、第二部が『立正安国論』を軸とした御書・絵画類を通じて日蓮聖人のご生涯をたどる「日蓮とその時代」、第三部が日像上人による京都開教以降、西国への法華の展開と隆盛を追った「京都開教と西国への展開」、第四部が天文法難や安土宗論、不受不施派の弾圧など政治と信仰の対立による受難を振り返る「京都受難の時代」、第五部が狩野元信、長谷川等伯、本阿弥光悦、俵屋宗達、尾形光琳、尾形乾山など近世日本美術の潮流を築いた法華信者たちの名品を通じて京都町衆と京都文化とのつながりを再確認する「復興と近世文化の開花」からなる。
200点あまりの展示物の中でも目玉となるのは、事前調査で新発見された高麗仏画「弥勒大成仏経変相図」(顕本法華宗総本山妙満寺蔵)。宮廷画家が描いた最古作で、妙満寺檀越のちきりや一門からの寄進ということも判明しており、町衆の役割を再認識させるものとされる。
また初公開作品には、京都本山妙傳寺所蔵の長谷川等伯筆「絵曼荼羅」、京都府向日市北真経寺・南真経寺の二ヵ寺とその檀家によって護持されてきた重要文化財「尊性法親王消息飜摺法華経」や「日像上人筆 曼荼羅本尊」、更に京都本山妙覺寺所蔵の日蓮聖人坐像、北海道法華寺所蔵の日蓮聖人坐像などがあり、これまで他見の難しかった秘宝、什宝が一挙に拝観できる希有の機会となる。