日蓮宗新聞

2008年11月1日号

日蓮聖人のご命日を偲ぶ 全国各地で「お会式」

弘安5年(1282)、日蓮聖人は病気療養のため身延山から常陸の湯をめざして出立され、その途上・武蔵国池上にご逗留、10月13日にご入滅された。以来700有余年、10月から11月にかけて全国の日蓮宗寺院では日蓮聖人の命日を偲ぶ「お会式」が営まれてきた。
宗祖ご入滅の地として毎年大勢の参拝客で賑わう東京・池上の大本山池上本門寺(酒井日慈貫首)では、万灯行列のある10月12日のお逮夜を中心に11日から13日にかけて五つの法要を厳修、今年は連休と重なったため約33万人という人出を記録した。
12日午前10時から酒井貫首を導師に営まれた宗祖御更衣法要では東京町田市などから訪れる武相御召講が今年も御召服を献上。読経のなか日蓮聖人像の御衣が夏物から冬物に改められた。午後2時からは宗祖報恩御逮夜法要が営まれ、全国から訪れた参列者が香を手向けた。

午後6時に万灯行列がスタート。九十五講中約3000人が池上徳持会館から本門寺までの約2キロを練り歩き、賑やかなお囃子に乗りながら華やかな万灯と勇壮な纏を披露した。万灯行列は深夜にまで及び、ピーク時に参道は通行もままならないほどの人出となった。
 日蓮聖人ご入滅のご正当の13日には、酒井貫首を導師に宗祖御入滅(第727遠忌)御正当法要が厳修された。日蓮聖人ご入滅時に日昭上人が打ち鳴らされたという故事にちなみ、ご入滅時刻の午前8時に合わせて酒井貫首が「臨滅度時の鐘」をつくと、満堂の参詣者は低頭合掌。朝日が差す大堂は、報恩のお題目で充ち満ちていた。

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遠野・花巻市で街頭布教 内野猊下御親修

遠野の地は内野猊下の先祖にあたる遠野南部家が長きにわたって治めた土地で、歴代藩主が眠る南部家墓所が護持されている。内野法主猊下をはじめ布教隊の団長を務めた石川浩徳身延山布教部長以下20人の隊員は、法主猊下ゆかりの地で諸霊に追善の誠を捧げるとともに、一昨年10月の内野法主身延山入山以来取り組んできた諸行事の無事円成を報告し、3ヵ寺で「立正安国・お題目結縁法要」を厳修し、御経頂戴が執り行われた。

10月3日午前10時半、合図の花火が上がり遠野市内唱題行脚が始まった。身延布教隊を岩手青年会(田口昌芳会長)が先導、約1時間にわたって遠野の街にお題目とうちわ太鼓の音がこだました。途中、遠野市長表敬訪問を終えた内野法主猊下のお車が合流。行脚隊に導かれるように智恩寺(西山昌秀住職)に到着した。
 智恩寺本堂には約150人の参列者が集まり、内野法主猊下を大導師に、副導師を西山住職、石川布教部長、岩手県宗務所長・梅澤宣雄師、木藤養眞師(大槌町蓮乗寺院首)の四師が務め「立正安国・お題目結縁法要」が厳修された。法要後、内野法主猊下は関係各位に謝辞を述べるとともに、「愛される祖山を目指しています。そこから発信される世界平和のお題目の中継基地としての智恩寺に期待します」と檀信徒を激励した。これを受け西山住職は「この法要を機に檀信徒とともに一層精進していきたい」と挨拶した。

その後、参列した檀信徒のために、石川布教部長が法話を行った。石川師は川柳で笑いを誘いながら宗門運動を解説し、手を合わせて拝む姿に幸せがあることを説いた。次いで内野法主猊下と布教隊一行は智恩寺の裏手の鍋倉城址にある南部家墓所と南部神社を唱題行脚しながら参拝した。
翌四日は遠野市宮守の法華寺(阿部是秀住職)に移動。同寺周辺を唱題行脚の後、本堂で内野法主猊下を導師に「立正安国・お題目結縁法要」を厳修し、御経頂戴が執り行われた。同寺は内野法主猊下からさかのぼること6世、身延山第86世一乗院日静上人を開山とし、その遺骨が分骨されている。日静上人の遺徳を偲びながらの法要となった。
続いて花巻市に移動。花巻駅から身照寺(牛﨑海秀住職)まで唱題行脚を行った。身照寺ではこの日の内野法主猊下御来駕に合わせて参道を整備。猊下は渡り初めをして「立正安国・お題目結縁法要」に向かわれた。同寺は宮沢賢治ゆかりの寺でもあり、布教隊は法要終了後、牛﨑住職から宮沢賢治についての説明を受けた。
里帰りともいえる岩手街頭布教を終えた内野法主猊下は「岩手県は南部家のご先祖の眠る霊地、私には縁の深い、いわば魂のふるさとであります。五重塔の建立もほぼ完成を見ることができ、ご先祖への法主就任のご報告を兼ね、宗門が展開する信仰運動を盛り上げるべく、身延山行脚布教を実施しました。岩手県下のご寺院、教師の皆さんのご協力もあり、大成功裏に終わったのでホッとしています」と話された。

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本山本法寺 諸堂修復営繕円成報告大法要

宝塔伽藍に新たな息吹
5年をかけて修復 開山上人の思いを後世に 京都市上京区

「鍋かむり日親上人」の名で知られる久遠成院日親上人によって永享8年(1436)に開創され、日親上人が全国各地への伝道の拠点とした京都市上京区の本山本法寺(大塚日行貫首)。本法寺で5年にわたり進められてきた諸堂修復大事業が完遂を迎え、10月16日、諸堂修復営繕円成奉告大法要が盛大に営まれた。
京都町衆の法華信仰を今に伝える寺之内。門前には表千家・裏千家の両家家元が門を構え、古い街並みが落ち着いた風情を醸し出している。
天正15年(1587)に現在地に寺地を構えた伽藍は、経蔵と宝蔵を除いて天明8年(1788)の大火で焼失し再建された。以後200年の歳月を経て荒廃が進んだことから、本法寺では平成15年、修復営繕事務局(鈴木英正事務局長)を結成。懸命な呼びかけに、京都八本山、地元寺院、本法寺参与会、全国の親師法縁寺院、有縁の僧侶檀信徒から多大な協力を受け、多宝塔解体修理、庫裏屋根修復、鐘楼解体修理、経蔵外壁全面塗り替えを主に、開山堂天井画・格子保存修理、開山堂宮殿・須弥壇保存修理、門番所袖塀改修工事など大規模にわたる修復事業となった。

本法寺境内の建物は涅槃会館を除いてすべて文化財に指定されており、作業は京都府文化財保護課の指導を受けながら、可能な限り元の素材を再用するなどして修復箇所が際立たないよう古色にあうように配慮された。
特に、京都旧市内唯一の遺構である多宝塔は、上重の屋根の傷みが激しく解体し全面的に改修。上重の瓦を古瓦に合わせて新調し上・下重とも細部にいたって補修・補強がなされ、外部は水洗いし木口の塗装と痕跡調査で判明した緑青の彩色を行った。
見事な秋晴れに包まれた16日、境内には参拝団の大型バスが次々と訪れた。午後1時、諸堂修復営繕円成奉告大法要が大塚貫首を導師に営まれ、大塚貫首の読み上げる力強い奉告文と、全国から参列した僧侶檀信徒約500人の読経が、整えられた伽藍の合間を流れ響いた。
 祝辞に立った大本山法華経寺(千葉県市川市)の新井日湛貫首は「大塚貫首の情熱あふれる慶讃文に感激しました。歴史のあるお寺の維持は、涙が出るほど大変なものです。中心になる人が全身全霊を投じ、法華経への誠心とお祖師さまに対するご恩返しと考えなければできない仕事です」と大塚貫首を慰労。また、本山妙覺寺(京都市上京区)の頂岳龍乗貫首は、京都八本山の伽藍が天明の災禍後に建立されて以来200年以上を経過し、早急な修理修復が必要とされている中で、本法寺がいち早く修理修繕を終えたことを慶賀の至りであると、お祝いの言葉を贈った。
施工業者へ感謝状を贈呈し謝辞に立った大塚貫首は、雨漏りがしたという平成13年の晋山当時を振り返りながら、軽い修復と考えていたところ、調査の末に大規模な修復が必要とわかり奔走、工事途中にも次々と内容を拡大しなければならなかった経緯を語り「開山上人の思いを引き継いでこられた親師法縁各聖、参与の方々をはじめ全国の皆さんの熱烈なる思いが届き予算額に応じるだけの勧募を頂戴しました。感謝の思いでいっぱいです。皆さん方と共に仏祖三宝、開山上人にご奉告をしなければと今日の法要をさせていただきました。僧侶檀信徒の皆さんに、本法寺を護っていただきたい。次の貫首さまにもその次の貫首さまにも、この本法寺を生かしてやっていただくようお願いしたいと思います」と、感無量の面持ちで参列者一人ひとりに話しかけるように感謝の言葉を述べた。

時の将軍足利義教に『立正治国論』を献じた日親上人は、焼鍋を頭にかぶせられるなどの残虐な迫害に遭いながらも、平和を願い法華経を弘めた。その開山上人の思いを後世に引き継ぐ堂塔伽藍に新たな息吹が吹き込まれた。

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新年のご挨拶。

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