2008年11月10日号
日蓮宗加行所入行会
関東地方で冬の訪れを知らせる“木枯らし一号”が吹いた11月1日、千葉県市川市の大本山中山法華経寺(新井日湛貫首)で平成20年度の日蓮宗加行所が始まった
。
今回は177人の僧侶が入行。当日は土曜日だったためか境内には多くの人々が参集。緊張した面持ちの行僧を囲んで家族や友人、檀信徒が別れを惜しみ、様々な思いを胸に行僧を見送った。
秋晴れの午前8時過ぎ、清浄衣に身を包んだ剃髪姿の行僧が集まり始め、家族、友人、檀信徒ともにしばしの別れを前に、思い思いの時間を過ごした。
午前9時、呼鐘が鳴り響くとあたりの空気は緊張感を増し、入行僧は常修殿へ。見送る檀信徒は入行僧の背中に向かい、大きな声をかけていた。
入行会は祖師堂で加行所伝主・新井日湛貫首を導師に営まれ、堂内は行僧の大きな読経の声が響きわたった。
挨拶に立った小松浄慎宗務総長は日蓮宗の中で修法は一翼を担う大きな力であり、修法師の育成は宗門において大きな任務と認識していると述べ、「壱百日の苦修錬行を終え、伝道宗門の先駆者としてご活躍を頂きたい。立派に壱百日の修行を乗り越え一段と逞しく成長し、一日千秋の思いで待っている師僧や寺族の方々、檀信徒がいることを忘れてはなりません」と入行僧に激励の言葉を贈った。
新井伝主は行堂清規に則り修行を行い、無事成満を迎えることを祈念。佐野前暁加行所伝師が「仏の実在性を掴むことが荒行の目的」と述べ、「本日只今より各聖の社会的地位、名誉すべてを預かります」と宣言した。
また赤羽浩教千葉県北部宗務所長、工藤堯幸全国修法師会連合会会長からも祝辞が述べられ、最後に全堂代表の竹中智英師(新潟県妙満寺住職)が「行堂清規を遵守し、不自惜身命の決意を持って、本日より寒壱百日間苦修錬行に精進することを加行僧一同とともに誓います」と力強く宣誓した。
報恩読誦会の後、入行僧は常師廟、奥ノ院を参拝し、いよいよ瑞門へ。行列する入行僧と共に歩き別れを惜しむ人や、「行ってらっしゃい」「頑張って」と声をかけ、涙ながらに合掌する姿が見られた。
午後3時前、瑞門が閉められると、父親を見送り泣きだす子どもや涙を浮かべる檀信徒など、境内には別れの悲しみが溢れていた。入行僧は来年2月10日までの100日間、わずかな睡眠の中、一日7回の水行と読誦行の苦修錬行に励む。