2007年11月1日号
第4回日蓮宗スタディーツアー 若者が孤児院などの子供達と交流
IT産業などの躍進から著しい経済成長を遂げる一方で、“持つ者”“持たざる者”の格差が広がり貧困問題が深刻化するインド。人として最低限の人権すら認められない子供たちが溢れるコルカタ市を、次代の宗門を担う若者が訪れ、孤児院などの子供たちと交流を重ねた。与えられた機会を最大限に生かそうと懸命に生きる子供たちから、多くの優しさを与えられた参加者は、一見豊かに見える日本人が失いつつある“共生する心”を学び、自分自身の可能性を考え直す気づきの旅となった。
日蓮宗宗務院(小松浄慎宗務総長)は、将来日蓮宗の国際協力活動・海外布教活動の担い手となる人材を発掘・養成することを目的に、9月3日から10日まで、第4回スタディーツアー体験の旅を開催。30年近くにわたりストリートチルドレンを支援し、子供たちの国籍取得にあたっている北鳳満師を団長に、10代・20代の宗門子弟や檀信徒19人が参加した。
スタディーツアーは、日蓮宗国際開教対策委員会(石井英雄委員長)が海外開教・国際交流の振興をはかり時代に適応する活動を検討する中で、宗門への啓発と後継者の育成を目的に、現地での社会に根ざしたプロジェクトとして立ち上げたもの。第1回から3回にわたってBAC仏教救援センター(伊藤佳通理事長)の協力を仰ぎ、参加者はラオスで現地の人々と触れ合いながら小学校建設に汗を流した。
4回目を数える今回初めて場所を移し、インド共和国コルカタ市(旧カルカッタ)を訪問。スラムや路上で暮らす女性や子供たちを対象に支援活動を行っているNGO団体カルカッタ・ソーシャル・プロジェクト(CSP)の催行によって、CSPが開設している孤児院や路上・公園学級、職業訓練校などに通い、子供たちと心の交流を行った。
宗門運動「立正安国・お題目結縁運動」基本目標の一つに掲げられる「心の平和、社会の平和、世界の平和」。国際開教対策委員会では、宗門内外で活躍する国際的視野を持った日蓮宗関係の各団体・個人の相互理解と協力、人材育成を主眼とした「日蓮宗国際ネットワーク(NIN」を発足させた。今回、ストリートチルドレンたちをとりまく劣悪な環境に戸惑いながら、「自分にできること」を探った若者の模索は、世界に羽ばたく第一歩として大きな実りとなった。