2006年11月1日号
日蓮宗、第3回ラオススタディツアー
緑の大地と赤土の道路、燦々と太陽が降り注ぐ青い空の下、宗門の将来を担う若者たちが小学校建設に汗を流し、村人との交流を行った。ゆったりと時が流れ、助け合いの精神が残るラオス。子どもたちの笑顔が溢れるおおらかな大地の中、建設作業に励んだ若者はそれぞれに新しい何かを掴み、国際協力の一端に触れる体験をした。
日蓮宗では国際協力活動・海外布教活動への意識を高めるため、法華経の菩薩行実践を通し、将来国際協力活動に携わっていくリーダーの育成を目的とした第3回ラオススタディーツアーを9月6日から15日まで開催。13年間ラオスで学校建設などの活動を行っているNGO・BAC仏教救援センターの伊藤佳通理事長(静岡県感応寺副住職)を団長に18歳から30歳までの若者12人が参加し、サイアブリ県ケンタオ郡のナーヒン村に日蓮宗では33校目(BACでは114校目)となる小学校を建設した。参加者は6日間の学校建設を通し、地元の職人の作業を手伝い汗を流すとともに、現地の人々・子どもたちと触れ合い、心の交流を深めた。
日蓮宗国際開教対策委員会(石井英雄委員長=東京都長照寺住職)では、海外開教および国際交流の振興をはかり時代に適応する活動の対策・検討を行っているが、その中で国際協力プロジェクトを立ち上げ、宗門への啓発と後継者の育成を目的に社会に根ざした協力活動を行うため現地でのスタディツアーを検討。仏教国であるラオスでの学校建設活動を行っていたBACに協力を仰ぎ、国際協力の一端として3年前からラオススタディーツアーを開催。現在、委員会では海外布教や国際交流・国際協力活動にかかわる諸団体との連携を円滑に行うため、日蓮宗インターナショナルネットワーク(NIN)創設に向けて活動をし、宗門内であらゆる国際的活動を組織的に行っていくために尽力している。
しかし宗門の中でも国際協力に対する理解が薄く、布教とのつながりが見えないという意見もあるが、仏教が、日蓮宗が“何かしてくれた”という思いが現地に根づくことで、国際協力は仏教布教の入口、布教の種まきと言える。
今回ラオスでの経験を機に、参加者には国際協力に対する関心の高まりや、直接の布教活動でなくても、地道な作業が今後へとつながることを感じとった様子が見てとられ、国際的視野を持った宗門人を育成する第一歩として実りを得た。