2005年6月1日号
静岡市 本山海長寺 法燈継承晋山式
静岡県静岡市の本山海長寺で5月17日、第69世小倉日浄貫首の退穏と第70世菅野日彰貫首の入山に伴う法燈継承晋山式が営まれ、新緑まばゆい五月晴れの中、僧侶・檀信徒約600人が参列した。
式に先立ち、菅野新貫首が30年にわたって寮監を務めた宗立谷中学寮の卒寮生と、身延山僧道実習生ら総勢180人が報恩の唱題行脚を行った。
近隣の龍華寺(小倉弘運住職)から出発した行脚隊は、沿道に詰め掛けた多くの人々の前でお題目の声を響かせ、海長寺に到着すると菅野新貫首が住職を務めていた浄延院(東京都台東区谷中)の檀信徒らから拍手が贈られた。
正午、富士駿河雅楽会による厳かな楽の音に乗せて開式。小倉前貫首は退穏奉告文の中で、戦争で灰燼に帰した諸堂を復興堅持してきた歴代貫首の努力を称え、13年間の貫首在職中に檀信徒の協力により山門と塀を新築できたことを奉告。今般、引退を決意し、これからは布教と青年僧育成に実績のある菅野新貫首へ期待したいと述べた。
続く法燈継承の儀では、海長寺に伝来する日蓮聖人ご真筆曼荼羅本尊と霊宝目録が小倉前貫首から菅野新貫首へ直接手渡され、歴代相承譜への署名が行われた。
祝辞では岩間湛正日蓮宗宗務総長が「菅野新貫首は、私共が親しみと敬愛の念を持って菅野先生とお呼びしているように、30年間にわたり宗立学寮の寮監として宗門師弟の訓育教化に務められた行学兼備の方です。これからも海長寺をお題目の道場として、法器の育成に徳風を示されることと確信します」と述べ、酒井日慈大本山池上本門寺貫首、井上瑞雄身延山久遠寺総務も続いて祝意を表した。
最後に菅野新貫首が挨拶に立ち、「このたびは池上本門寺参与・法類会、海長寺総代・世話人のご推挙を賜り、第70世の法燈を継承させていただくことになりました。本日の異体同心の唱題行脚は、きっと多くの人々にお題目の縁をもたらしたことと思います。ありがとうございました。私は常々、お経と布教と掃除が僧侶の基本と言っておりますが、その心をこれからもこのお山で守って参りたいと思います」と決意を述べ、法燈継承晋山式を終了した。