2005年6月1日号
子どもの声に耳を傾けよう
民生・児童委員として地域社会で活動する日蓮宗僧侶で結成される日蓮宗民生児童委員会(石井隆康会長)は、平成17年度の総会と研修会を4月13日に東京大田区の日蓮宗宗務院で行い、約30人が参加した。
児童虐待や孤独死が増える一方で、地域の世話役としての民生・児童委員の担い手は全国的に不足している。
日蓮宗には現在、行政からの要請を受けた約250人の僧侶が民生・児童委員の仕事に従事しているが、同会では「僧侶はもっと民生・児童委員を引き受けよう」と呼びかけている。
今回の研修会は、子どものための相談電話を手掛ける「めぐろチャイルドライン」代表で早稲田大学文学部教授の喜多明人氏が「子どもを支えるまちづくり」と題して講演を行った。
自分を出せない子どもたち
「めぐろチャイルドライン」は匿名の子ども専用電話相談で、相談者を大人と同世代の両方から選べることに特徴がある。
喜多氏は、チャイルドラインを通じて見えてくるものとして「自分を出せない」子どもたちが多いことを指摘。日常会話をする身近な相手が極端に少なく、本来なら親などが聞いてあげるべき、他愛のない内容を電話相談で話してくる子どもも少なくないという。
それは大人の余裕のなさの現れであり、子どもはあらゆるシーンで信頼出来る大人の姿を探しているものだから、もっと子どもの声に耳を傾けてほしいと喜多氏は強調した。
続いて、「めぐろチャイルドライン」の女性スタッフ数人が活動を報告し、スタッフの一人が「市民活動の継続には地域の理解と協力が不可欠。現在、都内では三つの寺院でチャイルドラインを行っているが、活動拠点のないグループのために、もっと多くの寺院に協力してほしい」と訴えた。
参加した会員らは、今後の活動に活用すべく熱心に聴講していた。