2004年9月1日号
日蓮宗「戦没者追善と世界立正平和祈願法要」
59回目の終戦記念日を迎えた8月15日、全国各地で戦争への反省や今後の日本について考える催しが行われた。日蓮宗(岩間湛正宗務総長)は東京・千代田区にある千鳥ヶ淵戦没者墓苑で昭和34年の創建以来続けている「戦没者追善並びに世界立正平和祈願法要」を営み、降りしきる雨の中、多くの僧侶檀信徒が訪れ、合掌し祈りを捧げた。戦没者墓苑には今年は新たに789柱が納められ、全部で35万626柱の戦没者の御霊が眠る。
午前9時、戦没者のご遺骨を納めた六角堂内に曼荼羅ご本尊をご奉安し、第60回忌となる法要は厳かに営まれた。石井隆康東京南部宗務所長が導師を、渡部堯信東京西部修法師会長が修法導師を務め、式衆に東京四管区の声明師会、修法師会、青年会が出仕。中央に安置された陶棺に向かって声明、読経、修法を行い、敬白文では追悼の意を表すと共に、世界の平和の祈念した。
続いて、力強いうちわ太鼓とお題目が響く中、参列者全員が焼香を行い、尊い命を犠牲にした戦没者の冥福を祈り、二度と戦争が起こらぬようにとの祈りを込め深く合掌した。
その後、千鳥ヶ淵戦没者墓苑奉仕会の小田原健児理事長が挨拶に立ち、戦後60年たったと言えども、まだまだ世界各地から多くのご遺骨が寄せられており、今後も御霊の慰霊顕彰の灯火を守り続けていくと語った。
最後に日蓮宗宗務院の遠藤文祥宗務総長室長が「目を内外に向けると世界中に貧困があり、戦禍は止まず、家庭崩壊や経済不況など心は満たされていません。二年連続の雨ですが、観世音菩薩普門品には甘露の法雨を降らして煩悩の火を滅するとあります。この雨が世界の戦禍を鎮め、乾ききった私たちの心に、仏さまの大慈悲を与えてくれているのです。本日参列された一人ひとりの心の中に平和の祈り、命の尊厳を再確認していただき、帰られた際にはその心をもってご精進を展開して頂きたい」と結んだ。
当日は終戦記念日とあって、一般の参列者も多く、法要に合わせて合掌し礼拝する姿も見受けられた。