2003年9月10日号
本山藻原寺 釈迦如来立像胎内から仏舎利
千葉県茂原市の本山藻原寺(持田貫宣貫首)に奉安される江戸時代造立の釈迦如来立像の胎内から、仏舎利5粒が発見された。これは6月30日、立正大学仏教文化財修復研究室(室長・庵谷行亨仏教学部長、研究主任秋田貴廣助教授)による調査で明らかになったもので、仏舎利の他に細字の法華経版経(上下2巻)の納入も確認された。
藻原寺の釈迦如来像は、高さ50.6センチの木造・寄木造・玉眼の像で、同研究室において修復作業中だった。像の背面には首題と「南無久遠実成釈迦牟尼仏」の銘記および正徳2壬辰年(1712)12月吉日の記年が、池上本門寺第23世の慈雲院日潤上人(1717年遷化)の筆で記入されている。
調査に立ち合った藻原寺の持田貫首の手によって厳かに開封された仏舎利は、半透明で不整形な粒状をなし、少し大きい2粒と、小さい3粒からなり、やや無雑作に細字法華経をくくる紙縒り(こより)にはさまれていた。和紙の包紙には「釈尊御内證御舎利、奉納、五粒」と記されている。
調査を行った坂輪宣敬教授によると、日潤上人に背銘の記入を依頼したのは、東京浅草善慶寺6世の道樹院日演上人(1726年遷化)らしく、胎内納入経の見返しにそうした趣旨が記されている。本像が善慶寺から藻原寺へわたった経緯は、現在のところ明らかでないという。坂輪教授は「細字の法華版経も珍しいが、仏舎利の納入はさらに貴重である。信仰上のこととはいえ、釈尊信仰の根元ともなる仏舎利の発見は、近来の慶事といえよう」と語る。