日蓮宗新聞

2021年3月20日号

東日本大震災から10年

東日本大震災仙寿院④2011年の東日本大震災から10年を迎えた3月11日。被災地の岩手県釜石市仙寿院と大槌町蓮乗寺で慰霊法要が営まれた。檀信徒遺族らが各住職とともにお題目を唱え、犠牲者や関連死含む約2万2200人や犠牲檀信徒へ慰霊の誠を捧げた。
仙寿院の芝﨑惠應住職は同院での法要に先立ち、釜石仏教会として身元不明の遺骨が安置される大平墓地公園内の納骨堂で法味を捧げた。芝﨑師の挨拶では、参列した野田武則市長らに対し、「〝十年一昔〟という言葉は10年を振り返るとともに、今後の10年をたずねよという意味。もっと市民の〝心〟の声に耳を傾け、新しい町づくりに役立てほしい」と強く要望した。
この納骨堂には、18年まで身元不明として仙寿院が預かっていた遺骨など9柱が納められている。昨年1柱の身元が判明し、引き取られたという。
11時から始まった仙寿院での法要は約70基の塔婆が建てられる中、檀信徒遺族ら約50人が参列して営まれた。法要後、芝﨑師は「10年の歳月は皆さまの生活の安定をもたらしたかもしれないが、心はどうか。本当の心の復興とは誰もが生きていて良かった、と思えるようになることで叶う。どうか諦めないでほしい」と語りかけた。
蓮乗寺での法要は13時から始まり、約50人の檀信徒遺族らが参列した。木藤養顕住職が蓮乗寺の犠牲檀信徒164人の名前を読み上げると、参列者は1人ひとりの顔を思い出しながら冥福を祈った。木藤住職は「世間では10年の節目と言われるが、区切りをつけようとしてもそうはいかないことは分かっている。でも、良い意味で消化していき、自分を大事に、お身体を大事にして生きていきましょう」と檀信徒遺族に優しく話した。
その後、地震発生時刻の14時46分を知らせるサイレンが鳴り響く中、檀信徒は海に向かい、あの日に始まった悲しみを思いながら追善のお題目を捧げた。
長男の宏勤さん(当時29歳)を津波で失い、本紙14年3月10日号の特集「被災地の菩薩たち」で気持ちを語った総代の阿部義雄さん(71)に10年経った今を聞いた。当時、宏勤さんを想い海に向かって「何で早く逃げなかったんだ。馬鹿野郎!」と叫んでいた阿部さんは、「私は漁師だったが、今は民宿を営んでいる。でも息子の命を奪ったが、海からは離れられない。恨むのではなく、もう一度海と向き合いたい」と小さな船を購入したという。「息子への想いは10年経っても変わらないが、自分も生きていこうと今は思っている。生きがいを持って健康で生きている限り息子の供養が続けられるのだから」と前を向いていた。

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