日蓮宗新聞

2019年7月10日号

日蓮聖人 門下連合会 西安 草堂寺結集

草堂寺結集①インドから中国にもたらされた経典『サッダルマ・プンダリーカ・スートラ』は鳩摩羅什三蔵法師(344―413※諸説有)の手により『妙法蓮華経』に漢訳され、海を渡ったはるか東の島国・日本にまで伝わった。『妙法蓮華経』は日蓮聖人(1222―82)によって開花され、今や世界中でこの高遠なみ教えが弘まった。日蓮聖人門下連合会(全10宗派1団体)では、迎える日蓮聖人御降誕八〇〇年を記念し、羅什法師が『妙法蓮華経』を漢訳した聖地・中国西安草堂寺での報恩法要を発願。6月11日に大導師に中川法政日蓮宗宗務総長、副導師に河野時巧顕本法華宗宗務総長ら4師、式衆に総本山身延山久遠寺で修行する学生(本山生)8人、さらに各派の管長・本山貫首・僧侶檀信徒計約140人が一堂に会し、大法要が営まれ、報恩の「南無『妙法蓮華経』」を響き渡らせた。
◆玄奘三蔵ゆかりの大慈恩寺を訪問
今回の草堂寺結集には日蓮聖人門下連合会(右下に加盟教団一覧)と総本山身延山久遠寺からの団体参拝が組まれた。10日は中川法政宗務総長が持田日勇身延山総務をはじめとする久遠寺の団参と玄奘三蔵ゆかりの大慈恩寺を参拝し、住職の増勤法師を表敬訪問した。陝西省仏教協会と西安市仏教協会の会長でもある増勤法師は、「日蓮宗が草堂寺の発展、また中国と日本の仏教界交流に尽力されたことを心より感謝します。明日の草堂寺での法要が円成することを祈っています」と歓迎の意を表するとともに「私たちは日中友好への責任があります。言葉は通じなくても心は通じ合っています」と話した。日中友好宗教者懇話会前会長でもある持田総務は、「中国と日本の仏教者が、黄金の絆を堅持し、両国の親和と世界平和のために協力して参りましょう」と応えた。さらに中川総長も日蓮宗として仏教興隆・世界平和へ向けて力を尽くすことを約束したほか、日蓮宗の『妙法蓮華経』への信仰を紹介し、玄奘・鳩摩羅什両三蔵法師への感謝を伝えた。

◆今後も草堂寺への協力を約束
翌11日。草堂寺での法要に先立ち、中川総長と懇談した同寺住職の諦性法師が日蓮宗の同寺復興への協力に謝意を表すと、中川総長は「これからも日本からの参拝を増やし、発展に協力したい」と伝えた。また諦性法師から「佛」と揮毫された書と羅什像が贈呈された。
◆久遠寺本山生が出仕の慶讃法要
法要は草堂寺の蔵経楼内・中国唯一の一尊四士(お釈迦さまと上行・無辺行・浄行・安立行の四菩薩)像前で営まれた。中川総長は慶讃文で「羅什法師はただ経典翻訳の人にあらず。教主釈尊のみ心に触れ、その本懐を正しく領解しもって法華経を訳し、漢土における法華仏教の源を将来せしめたる聖者」と讃えた。また特別に持田総務が経験を積んでもらいたいと、同行した身延山久遠寺で修行をする本山生の学生8人が海外での重要な法要の式衆を務めた。法要後、本山生の1人は「鳩摩羅什三蔵法師ゆかりのお寺での法要は、身にしみて法華経のありがたさを感じました。一生の経験になりました」と大役を果たし胸をなでおろした。
◆法要契機に日中友好が続くことを
場所を移して開かれた懇親昼食会では、諦性法師が「この法要をもって日蓮宗との親近感が増し、日中の友好が末永く続くことを祈ります」と挨拶したほか、持田総務から草堂寺の顕彰に尽力した内山堯邦師が紹介され、参加者から温かい拍手が送られた。また同日夜には、懇親パーティーが開かれ、中国伝統芸能の変面や顕本法華宗の「日蓮大聖人のうた」が披露された。最後には門下連合会参加者全員での玄題(お題目)を三唱した。
◆『妙法蓮華経』里帰りの歴史的な日
参加した法華宗陣門流の西山英仁宗務総長は「鳩摩羅什三蔵法師の『妙法蓮華経』がなければ、日蓮聖人がお釈迦さまの真意の華を咲かせることはありませんでした。そういった歴史的なつながりに感激しました。日蓮聖人あっての門下連合。教義の捉え方は違えど、信仰の面では1つになることで乗り越え、ともに立正安国を目指さなければ」と述べた。また中川総長は「門連を1つにしているのが、日蓮聖人が選ばれた『妙法蓮華経』。今日は、インドから草堂寺を経て日本にきた『妙法蓮華経』が里帰りした歴史的な日。それも個人ではなく、門下連合で参拝したことが素晴らしいこと。しかし、なぜ今、この参拝が行われたのかを見つめ、私たちが作り出す立正安国の機縁にしなければなりません」と草堂寺結集の意義を説いた。
◆「如来寿量品」経石碑を奉納
今回、門下連合会では蔵経楼の壁に安置される『妙法蓮華経』の経石碑の1つ「如来寿量品第十六」を奉納し、各派代表者の名前が刻まれた。

鳩摩羅什三蔵法師=亀茲国(「クチャ」とも=現・新疆ウイグル自治区アクス地区)生まれ。父はインド人「鳩摩羅炎」、母は亀茲国人「耆婆」。7歳で母親と出家し、9歳で母親と遊学。12歳でカシュガル(新疆ウイグル自治区)で経を講じ、たちまち西域諸国で評判となった。384年、呂光について東へと蘭州(現在の甘粛省)武威に着き、13年間漢文漢語を勉学した。401年、後秦の皇帝・姚興が鳩摩羅什を長安(現在の西安)に招き、皇宮の逍遥園内に国立仏典漢訳場である草堂寺を設けた。
鳩摩羅什は同寺で仏典翻訳74部384巻、漢伝仏教にインド大乗空宗仏教理論を取り入れ、中国仏教文化思想を形成した。翻訳された『百論』『中論』『十二門論』は、三論宗創立の礎となり、ゆえに草堂寺は三論宗発祥地ともなる。

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