2015年9月1日号
広島平和記念公園で原爆死没者追善供養
日蓮宗宗務院と中四国教区が主催する広島原爆死没者追善供養並世界立正平和祈願法要が8月21日、広島市平和記念公園・原爆供養塔前で営まれ、僧侶檀信徒など約500人が参列した。この供養塔は、氏名不詳や一家全滅などで引き取り手のなかった原爆死没者の遺骨約7万柱を供養するために昭和30年に建立されたもの。
法要に先立ち、小林順光宗務総長と内局は行脚隊と合流して原爆死没者慰霊碑に献花を行った。日蓮宗保育連盟加盟の幼稚園・保育園に通う子どもたちが折った千羽鶴で飾られた会場に、広島法華和讃会の和讃の奉詠のなか、開式。続いて、渡部公陽君(小4・広島市本覚寺寺族)が「平和へのいのり」を読み上げ、「この世界がみ仏の国に生まれ変わるように、広島の意味を学び、広島の真実を百千万億人の人に伝えよう」とご宝前に誓った。法要は小林総長が導師を務め、参列した檀信徒らとともに読経・唱題を行い、原爆死没者を悼み、世界立正平和を祈願した。焼香台は会場の外にも設けられ、原爆ドームや広島平和記念資料館に訪れた海外からの旅行者らが真剣な表情で焼香・合掌を行っていた。
法要後に日蓮宗を代表して挨拶に立った小林総長は、日蓮宗が他宗に先駆け昭和29年に世界平和を目指す立正世界平和運動を開始したことに触れ、現在もその精神を引継ぎ「いのちに合掌」をスローガンに「立正安国・お題目結縁運動」を展開し戦争のない安穏な世界の実現を目指していることを紹介。「核兵器の廃絶を訴え、戦争をしない、させない、許さないと平和の祈りを世界に訴えることが大切」とし、「一天四海皆帰妙法、立正安国の実現に邁進することが、すべての犠牲者に対する追善の道」と結んだ。また渡部公悦広島県宗務所長は「戦後70年、当時を知る人の高齢化で供養塔に参る人が少なくなるなか、たいへん意義深い法要を執り行うことができた」と感慨深げにインタビューに答えた。
また、前日20日には小林総長以下内局のメンバー11人が広島平和祈念資料館を表敬訪問。志賀賢治館長と懇談の後、資料館の見学を行った。