2014年9月1日号
世界立正平和祈願の継承誓う
69回目の終戦記念日を迎えた8月15日、日蓮宗は小林順光宗務総長を導師に「千鳥ヶ淵戦没者追善供養並世界立正平和祈願法要」を、東京・千代田区の千鳥ヶ淵戦没者墓苑で営んだ。この法要は昭和34年に同墓苑が創建されてから日蓮宗が行っている法要で、今年が56回目となる。戦没者の遺骨が納められている六角堂内に大曼荼羅ご本尊を奉安し、池上幸保全国日蓮宗檀信徒協議会会長のほか、法華一乗会の会員で公益財団法人・同墓苑奉仕会会長の堀内光雄氏をはじめ、谷垣禎一氏、武見敬三氏、佐藤ゆかり氏らが参列。檀信徒約400人とともに戦没者の慰霊と平和への祈りを捧げた。
今年は、導師を小林順光日蓮宗宗務総長、副導師を東京4管区宗務所の田村宏順所長(東部)、矢嶋泰淳所長(西部)、石井隆康所長(南部)、望月兼雄所長(北部)が務めた。修法導師は豊田昌樹東京北部修法師会長が務め、式衆に東京四管区の声明師会、修法師会、行脚隊に青年会の各師が出仕。六角堂の中央に安置された陶棺に向かい声明、読経、修法を行い、表白文で戦没者諸精霊に追悼の意を表すとともに、世界平和を祈念した。参列者全員による焼香では、それぞれが尊い命を犠牲にした戦没者の冥福を祈るとともに、二度と戦争が起こらぬよう祈りを込めて合掌した。
法要終了後、公益財団法人千鳥ヶ淵戦没者墓苑奉仕会の若松重英理事長が挨拶に立ち、同墓苑創設以来続く日蓮宗の法要に対し謝辞を述べ、遺骨収集事業の現状を報告した。同墓苑に納められている遺骨は、軍人、軍属のみならず海外で犠牲となった一般邦人も含まれ、いずれも遺族に引き渡すことのできなかったもので、今年も収集された遺骨が加わり総数は36万96柱となった。
最後に日蓮宗を代表して小林宗務総長が「戦争の恐ろしさ・むなしさ・悲しさ、また平和の尊さ・いのちの尊さを伝え、今生きていられる幸せを感謝し、戦没者追善と世界立正平和の祈願を日蓮宗の次世代に継承していく」と誓い、この日の祈りが戦没者諸霊位を安らかにし、人類の平安の実現を念じて挨拶を結んだ。
毎年この法要に参列する神奈川県の檀徒の一人は昭和19年に南太平洋上で叔父を失い、とうとう遺骨は戻らなかった。「叔父の魂はここに帰ってきていると信じている。もう叔父を知る親族は私一人だけになってしまった。元気なうちは毎年参列します」と話して、1枚しか残っていないという叔父の写真とともに会場を後にした。