2013年11月10日号
日蓮宗加行所始まる
日蓮宗加行所(工藤堯幸伝師)が11月1日、千葉県市川市大本山中山法華経寺(新井日湛貫首=加行所伝主)に開設された。寒壱百日の苦修錬行を積み、日蓮宗の布教の一翼を担う秘法を授かるため、僧侶102人が、修行場となる結界内に身を投じた。
入行前の午前9時頃、境内には緊張した面持ちの入行僧と、期待や不安の表情で見守る檀信徒たちの姿があった。初めて行を積む、愛知県長満寺の内藤潮城師は「たくさんの人たちの励ましや支えがあって今この場にいることを実感している」と前置きした後、深く息を吸い込み「己を高め、修行が明ける2月10日に恩を返していきたい」と顔を引き締めた。また長満寺檀徒の田賀邦緒さん(73)は「入行を決めたときの決意を貫いてしっかり修行し、そのなかで授かった力を檀信徒に分けてもらいたい」と内藤師を見つめた。
入行会では入行僧が祖師堂内に全身全霊で読経を轟かせた。新井伝主は「自ら望んだ修行」と肝に銘じ、自信への厳しさを求め、入行僧を激励。続いて工藤伝師が「壱百日間の苦修錬行を行い、日蓮聖人の願いを達成する修法師として活躍してほしい」と期待を述べ、「伝師として102人の命をお預かりいたします」と宣言し、覚悟を表した。
初行の内山善隆師(千葉県円頓寺内)を見送りにきた檀徒の小高ハナさん(84)は、「寂しくはありません。うちの若上人は身延山や鎌倉など、どこにでも連れて行ってくれて、本当に頼りになる人ですから、信頼しているんです」と自慢げに笑顔で語った。