2013年10月1日号
大本山本圀寺格護・清正公ゆかりの朝鮮錦
京都市山科大本山本圀寺の伊藤瑞叡貫首(元立正大学仏教学部教授)が寺宝の確認作業で、加藤清正公ゆかりの朝鮮錦を発見した。この錦は清正公が文禄・慶長の役(1592ー98)の休戦に際し、和議の印として当時の朝鮮の王様と、花郎集団と呼ばれる貴族の若者の集まりから献上されたものだという。清正公は両親が眠る本圀寺から出兵したと言われており、帰国後この朝鮮錦を同寺に寄進した。また清正公は同じく和議の印として献上された狛犬も本圀寺に奉納している。
発見された朝鮮錦の大きさは銀糸で編まれた布3枚でつながれ、縦225㌢・横175㌢。朝鮮の人びとが獅子舞を踊ったり、目隠しして遊ぶ姿、騎馬戦など楽しそうににこやかに生活する平和な様子が色とりどりの刺繍で描かれている。また天蓋を付けたひょうたんや牡丹のような花、魚などもあしらわれ、一層賑やかな様子を表している。
伊藤貫首によると本圀寺が昭和46年に堀川から山科へ移転された以前からの寺宝の記録に朝鮮錦には、朝鮮錦に関する資料が現在は残ってないという。伊藤貫首は今回の発見を喜んでおり、「時間はかかるが、今後も寺宝の調査を続けていきたい」と語った。