日蓮宗新聞
2011年6月1日号
伊豆法難七五〇年後会・報恩大法要
「知恩報恩」を合い言葉に3年の記念事業締めくくる
日蓮聖人伊豆法難七五○年報恩奉行会(板垣日祐総裁=静岡県伊東市本山佛現寺貫首)は5月12日、同市佛光寺(安部雅宣住職)で伊豆法難七五○年後会・報恩大法要を営み、「知恩報恩」を合言葉に3年にわたって行われた記念事業を締めくくった。
昨年は、日蓮聖人が遭われた伊豆法難からちょうど750年にあたり、佛現寺で宗門法要が営まれ、一昨年には同市蓮慶寺(田中智海住職)で前会の法要が営まれている。この報恩法要が3年にわたり営まれたのは、日蓮聖人が伊豆に3年の間滞在されたという故事からで、伊豆地方の日蓮宗寺院はこの年月を、日蓮聖人が四恩(父母・師匠・国・三宝の恩)に報いることの大切さを説かれた時期として重要視しているからである。
佛光寺は日蓮聖人の初めてのご祈祷によって重病が治ったと伝えられる伊東の地頭・伊東八郎左衛門の屋敷跡に建立されている。また総代を務める鈴木章弘さんは、日蓮聖人生涯の随身仏・釈迦立像を光る海中から引き揚げたといわれる祖先を持つなど日蓮聖人にゆかりがある。
東日本大震災追悼会もあわせて執り行われた法要は板垣総裁を導師に厳修され、僧侶檀信徒300人が参列。また副導師の田中師が追悼文で犠牲者の冥福を祈り、同じく副導師の安部住職がご宝前法楽で日蓮聖人への報恩と震災からの早期復興を祈念した。
法要後、板垣総裁は「この度の東日本大震災で多くの方々が犠牲となり、また避難生活をされております。日蓮聖人がおられた750年前もまさにこのような時だったのではないでしょうか。今私たちに欠けているのは米一粒への感謝です。日本中、世界中の人々の心が一つになっている今こそ、感謝する気持ちを取り戻さなければなりません」と述べ、また年間の自殺者が3万人以上にものぼることを挙げ、「日蓮聖人へのご報恩とはお題目を唱え、社会や家庭を明るくすることです。また少しでも声を掛けることで一人でも多くの人が救えるのならば大変ありがたいこと」と語った。
また夜には“歌のお姉さん”で人気のはいだしょうこさんによるファミリーコンサートが開かれ、親子連れ500人が親しみのある歌などを楽しんだ。歌のお兄さん・今井ゆうぞうさんも飛び入りで参加し、会場は終始盛り上がりを見せた。
会場には大震災の募金箱が設置され、集まった義援金は報恩奉行会を通じて宗門と静岡第一テレビ・24時間テレビ事務局に寄託された。