2009年7月20日号
世界開教師会議
世界各地で日蓮宗の布教に尽力
「開教師」が一堂に
世界各地で日蓮宗の布教に尽力している「開教師」が一堂に会する世界開教師会議が6月8日から11日まで開かれ、22人が参集した。
現在、海外の日蓮宗の拠点はアメリカ・カナダ・ブラジル・ドイツ・イタリア・イギリス・インド・スリランカ・マレーシア・インドネシア・シンガポール・韓国の12ヵ国30ヵ所。日蓮聖人の大願「一天四海皆帰妙法」の実現を目指し、25人程の開教師が孤軍奮闘している。
8日には東京・大田区の日蓮宗宗務院で会議が開かれ、日蓮仏教の普及を行う僧侶を「国際布教師」と呼び、日蓮宗組織の拡張を行う僧侶を「開教師」とする等、規程改正に関する説明がなされた。
9日の午前中は品川区の立正大学で、海外の布教拠点を統括するアメリカ・カリフォルニア州の開教布教センターの平井智親センター長が、海外布教の後方支援活動について報告。ブラジルでの沙弥セミナー、欧州での檀信徒研修など世界各地で研修を行っていることや、宗内各組織との連携を積極的に図っていることなどを紹介した。意見交換の場では、日本語と英語以外の教材の不足や、北米以外では研修会の機会が少ないことを指摘する声が出たほか、信徒の士気を高めるため、宗務院幹部の定期的な巡回を求める声が多く出た。
同日午後は、『立正安国論』奏進750年記念として同学の石橋湛山記念講堂で行われた「記念講演&シンポジウム」(7月10日号に既報)に出席。
10日の午前中は千葉県市川市の遠壽院(戸田善育住職)で、日蓮宗声明師会連合会(木村圓雅会長)指導のもと「法式声明研修会」が行われた。普段一人で法式を執り行うことの多い開教師のため「単独で行う通常法務」をテーマに、入堂の作法やお数珠の持ち方、発音のタイミングなど細かい指導がなされ、開教師らは講師の一挙手一投足に見入っていた。
同日午後は、前日に続き『立正安国論』奏進750年記念として同市の大本山中山法華経寺(新井日湛貫首)で営まれた宗門法要(6月20日号に既報)に参列した。
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11日は日蓮宗開教布教センター(平井智親所長)主催の教化シンポジウム「日本と海外の新たな教化の試み」が宗務院で開催され、開教師と国内僧侶約90人が参加した。
金井勝海師(北米開教区長)、光岡潮慶師(全国日蓮宗青年会会長)、松永慈弘師(日蓮宗青少年教化ネットワーク常任委員事務局次長)、林秀文氏(松坂屋個人情報管理委員会事務局)の4人がそれぞれ約30分の講演を行った。
金井師は北米開教区の現状と、「現在帳」を作り信者の誕生日や家族構成などを把握し布教に役立てていることを報告。光岡師は青年会の取り組みを解説。「尊い教えを説いて信用を得る」から「信用を得てから教えを説く」とし、まずは僧侶が社会的信用を得る活動からはじめることの重要性を話した。
松永師は自身の布教活動としてホームページを活用していることを話した。単にホームページを開設するだけに留まらず、個性やそれぞれの得意分野を活かし、結果を急がず最終的に布教になればいいというスタンスが大切であるとした。林氏は個人情報の管理について法規制が強化されたことについて解説。寺院運営にあたって留意すべき個人情報の管理について話した。
その後、三田村昌鳳師(日蓮宗国際ネットワーク事務局長)をコーディネーターに講師4人をパネラーにしたシンポジウムを行った。一見すると関連性の薄い4人の講演が三田村師のリードで巧みに関連づけられ、聴講者には布教を展開し寺院や教会を運営する上で示唆に富む研修となった。