日蓮宗新聞

2009年4月10日号

沖縄修法師布教団 各地で唱題行脚と慰霊法要

平成20年度日蓮宗加行所を成満し、成満会で小松浄慎宗務総長から辞令を受けた修法師による沖縄修法師布教団(佐野前暁団長=平成20年度日蓮宗加行所伝師)が、2月28日から3月2日までの3日間、沖縄県の南部戦跡などで、唱題行脚と慰霊・修法法要を行った。45人の修法師と随行した檀信徒ら20人は戦没者諸霊に祈りを捧げ、立正平和の思いを新たにした。

2月28日に那覇市内で結団式を行った一行は、翌3月1日、豊見城市にある旧海軍司令壕を皮切りに、摩文仁の丘沖縄戦没者墓苑、黎明の塔、健児の塔、ひめゆりの塔、魂魄の塔を巡回。それぞれで唱題行脚と慰霊供養を行うとともに平和祈願の祈祷を行った。特に摩文仁の丘沖縄戦没者墓苑では、待ち受けていた地元沖縄法華経寺(日沢是良住職)の僧侶檀信徒らと合流し、佐野団長を導師に追善供養を行った。
この日は最後に特別養護ホーム・転生園(八重瀬町・吉田郁子園長)を慰問。法楽加持が行われ、終了後には佐野団長が、参列した高齢者にも理解できるようなやさしい言葉で「加持」「祈祷」の意味を解説した。
最終日の2日は、那覇市の法華経寺で、立正平和祈願祭と恩親平等慰霊法要を行い3日間の沖縄修法布教を締めくくった。

3年連続で布教団団長として沖縄の地に訪れた佐野師が、解団式の後に沖縄への思いとこの3日間の意義を熱く語ってくれた。(以下要旨摘録)

 太平洋戦争の末期、一億特攻の名のもとに尊い命が散っていった沖縄戦。それは勝ち目のない絶望的な戦いだった。目指すところはただひとつ、玉砕覚悟で戦い、米軍の本土侵攻を少しでも遅らせること。そして督戦の声は民間人にも及んだ。つまり嵐の前の防波堤のような役割を沖縄県民が担わされたのだった。捨て石のように扱われた沖縄県民の尊い命を思うと、思わず言葉が詰まる。
死者は25万人ともいわれ、いまだに県内の山中から遺骨が発見されることも珍しくない。多くの命がこの地に散った。そして各地で起きた集団自決。なかには日本軍に自決を強要された者もいた。「生きて虜囚の辱を受けず」という戦陣訓が軍人のみならず民間人にも向けられ、降伏も許されない空気が沖縄を支配したのだ。これが日本の歴史で最も悲惨な戦いといわれる沖縄戦の姿だ。生き残った沖縄県民にも癒えない傷を残したことは言うまでもない。
あれから60余年が経った。今日の日本の平和や繁栄の影にはこのような沖縄県民の犠牲がある、ということが忘れられているのではないか。修学旅行などで多くの学生が沖縄に訪れるが、感想を聞くと「鍾乳洞が楽しかった」といったような声ばかりで、戦争の悲惨さや平和のありがたみに触れる声は聞かれない。今回、戦跡を巡ったのは日曜日だったにもかかわらず、ひめゆりの塔でも平和祈念公園でも人が少なかったのは憂慮すべきことだ。沖縄戦が風化されていく。戦争の悲惨さや歴史を忘れた人が増えていく。こういったことの延長に愚かしい戦争や命の軽視があるのではないか。
日蓮宗では「環境」「平和」「いのち」の大切さを訴え、宗門運動では「いのちに合掌」をスローガンとしている。沖縄の地に眠る戦没者諸霊を回向し、この地から「平和」「いのち」の大切さを発信することは日蓮宗の務めであると確信している。沖縄修法布教を通して、沖縄の歴史を知る人が少しでも増えれば、やがてそれが立正平和の道へとつながることだろう。慰霊あっての立正平和である。若い加行僧には、沖縄に眠る諸霊に額ずくことを立正平和へ向けての一歩目としてもらいたい。

illust-hitokuchi

side-niceshot-ttl

写真 2023-01-13 9 02 09

新年のご挨拶。

過去の写真を見る

全国の通信記事

  • 北海道教区
  • 東北教区
  • 北陸教区
  • 北関東教区
  • 北関東教区
  • 千葉教区
  • 京浜教区
  • 山静教区
  • 中部教区
  • 近畿教区
  • 中四国教区
  • 九州教区

ご覧になりたい
教区をクリック
してください

side-report-area01 side-report-area02 side-report-area03 side-report-area04 side-report-area05 side-report-area06 side-report-area07 side-report-area08 side-report-area09 side-report-area10 side-report-area11_off side-report-area12
ひとくち説法
論説
鬼面仏心
購読案内

信行品揃ってます!

日蓮宗新聞社の
ウェブショップ

ウェブショップ
">天野喜孝作 法華経画 グッズショップ
">取扱品目録
日蓮宗のお店のご案内
">電子版日蓮宗新聞試読のご登録
">電子版日蓮宗新聞のご登録
日蓮宗新聞・教誌「正法」電子書籍 試読・購入はこちら

書籍の取り扱い

前へ 次へ
  • 名句で読む「立正安国論」

    中尾堯著
    日蓮宗新聞社
    定価 1,365円

  • 日蓮聖人―その生涯と教え―

    日蓮宗新聞社編
    日蓮宗新聞社
    定価 826円+税

書評
正法
side-bnr07
side-bnr07