日蓮宗新聞

2005年9月1日号

広島・長崎原爆慰霊唱題行脚

日蓮宗総本山身延山久遠寺(藤井日光法主)では、終戦60周年にあたる本年、広島長崎原爆死没者慰霊撃鼓唱題行脚を8月4日・5日の両日、長崎・広島の二都市で行い、身延山布教隊をはじめ、地元からも多くの僧侶檀信徒が参加して、共に平和への唱題の声を響かせた。

身延山久遠寺では、戦争の記憶を永久に心に刻み、亡き戦死戦没者の慰霊を行い、感謝の心をもって恩に報ずることが現代人の責務とし、昨年から慰霊撃鼓唱題行脚の準備を進めてきた。
今回の慰霊行脚は、奥野本洋布教部長を団長に布教部員・僧道実習生・在院高校生などからなる総勢25人の身延山布教隊を編成して実施された。

身延山から長崎へ

 8月3日正午、出発の準備を整えた先発隊13人は身延山からバスで長崎へ。翌4日の朝、長崎に到着し、市内寺町の長照寺(浅井円誓住職)で長崎県日蓮宗青年会(梶原一乗会長)30人と合流した。
午前11時、行脚隊は5本の玄題旗を先頭に出発。長照寺から思案橋へ至る鍛冶市通り商店街は道幅も狭く、行き交う人で溢れていたが、響き渡るうちわ太鼓の音とお題目の声に、合掌して出迎える人びとの姿もあった。
九州特有の強い日射しに照らされ、体感温度は40度はあろうかという中、行脚隊は長崎駅前を通過して正午に筑後町本蓮寺(山田完修住職)に到着。本蓮寺檀信徒が打ち鳴らすうちわ太鼓の出迎えを受け、本堂正面で法味言上した。
本蓮寺では午後1時半から長崎県宗務所(合川天心所長)主催の「原爆死没者慰霊者法要」が合川所長を導師に行われ、原爆遺族会会長の下平作江さんが被爆体験を多くの参列者の前で語った。
下平さんの話は当時の惨状を生々しく伝え、時に耳を背けたくなるほどであったが、青年僧を中心とする行脚隊の面々は誰もが平和の有り難さを感じずにはいられなかった。
本蓮寺を出発した一行はさらに人数を増やして総勢百余人となり、四班に別れて平和公園を目指す。一行の胸中には、法要の際に合川所長が語った「長崎市内では、原爆死没者の遺骨の全てが収集された訳ではなく、林立する建造物や路面の下にまだ多くの遺骨が眠っている」という言葉が重く響き、お題目の声に一層の力が込められた。
途中、爆心地公園で参拝した一行は、午後5時過ぎに平和公園に到着。長崎市原子爆弾無縁死没者追悼祈念堂と平和祈念像の前で読経と献花を行い、全行程7kmに及ぶ長崎原爆死没者慰霊唱題行脚を終了した。
長崎での行脚を終えた一行は束の間の休息の後、午前3時に宿舎を出発しバスで広島へ向かった。

広島で後発隊と合流

5日午前11時、広島市に到着した一行は、千田町の妙法寺(関根眞隆住職)で身延山からの後発隊11人と合流し、炎天下の唱題行脚が始まった。
市街中心部のビル街には、うちわ太鼓とお題目の声が響きわたり、人々からの温かい合掌を受けながら、行脚隊は圓隆寺(中谷本曜住職)・妙風寺(渡辺公悦住職)と歩を進め、午後4時に平和記念公園に到着。
平和公園では、折しも同地を訪れていた立正平和の会(日蓮宗僧侶を中心とした有志の会)のメンバーからの出迎えを受け、被災者供養塔の前で読経し、亡き原爆死没者へ追福の誠を捧げた。
翌6日、午前8時から平和記念公園で行われる「広島市原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式」に参列するため、行脚隊は本覚寺(渡部康国住職)を出発。二列縦隊の無言行進で会場入りし、8時15分、平和の鐘の音に合わせて黙祷を捧げた。
平和祈念式典終了後、行脚隊は再び隊列を組み直し、今回最後の訪問寺院である妙頂寺(頂岳龍成住職)に到着。のべ3日間にわたる慰霊行脚の全日程を終了した。
今回の慰霊行脚を通して、長崎と広島という両被爆地で一行がよく耳にしたのは「原爆の記憶が風化している」こと。身延山行脚隊は、この戦争で犠牲となった多くの戦死戦没者のことを決して忘れずに後世に伝え、世界の恒久平和への誓いを新たにしていた。
(この記事は、身延山久遠寺布教部と長崎支局・山田浩文支局長の協力により作成しました)

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