日蓮宗新聞

2005年3月10日号

総本山身延山久遠寺 四幅のご真筆曼荼羅本尊

日蓮宗では立教開宗750年の記念事業の一環として、5年前から、日蓮聖人ご真筆曼荼羅本尊の調査・修理を行っており、現在、宗門寺院で格護される92幅のお曼荼羅の内、半分近くの修理が終了している。今冬、総本山身延山久遠寺(藤井日光法主猊下)をはじめ、合わせて3ヵ寺で格護される四幅の曼荼羅本尊が修理を終え、2月24日、身延山久遠寺祖師堂で合同の修理終了奉告式が行われた。

今回、修理を終えた日蓮聖人ご真筆曼荼羅本尊は、総本山身延山久遠寺・本山大野山本遠寺(身延町・豊田貫修貫首)・妙了寺(南アルプス市・飯島顗周住職)で格護される計四幅。
調査は中尾堯立正大学名誉教授を中心に進められ、修理は国宝・重要文化財の美術品も手掛ける京都の(株)光影堂が約1年かけて行った。
久遠寺のお曼荼羅は弘安3年(1280)に揮毫されたもので、江戸時代初期に本阿弥光瑳(光悦の養子)による表装が施されている。刀剣の鑑定を家業とし、熱心な日蓮宗の信者であった本阿弥家に伝来していた。
 明治8年の大火で日蓮聖人のご真筆が失われた身延山で、昭和10年に篤信の加治さき氏によって奉納された貴重な一幅。
中尾教授によると本紙全体にうっすらと縦線が認められるが、これは木目の跡で、かつてこのお曼荼羅が板の上に貼られ、多くの信者に拝まれていたことを物語るという。
本遠寺には二幅のお曼荼羅が格護され、一方は佐渡、もう一方は身延で揮毫されたものと思われる。
二幅とも背面に心性院日遠上人(身延山22世・本遠寺開山)の極書があり、日遠上人のことを敬愛した養珠院お万の方についての記述が見られる。
また後者のお曼荼羅には、横に一本、縦に4本の折り目が見られる。これは、日蓮聖人からこのお曼荼羅を授与された人物が、お守りとして片身離さず持ち歩いていたことを示すという。
妙了寺のお曼荼羅は弘安3年、身延における弟子である日佛尼(妙了寺開山日道院日了の母)に授与されたもの。
本紙の左下は擦れて一部分が失われているが、これは昔に多くの人々が触ってお参りしていた跡だと中尾教授は分析する。通常、お堂の中では左周りで巡るために、お曼荼羅を前にして思わず手で触れてしまうのは左下の部分。人々の日蓮聖人への恋慕渇仰の思いが伝わってくるという。
久遠寺祖師堂で行われた修理終了奉告法要では、ご宝前に四幅のお曼荼羅が一斉に掲げられ、圧倒的な迫力に包まれた。
法要終了後、導師を務めた菅野啓淳身延山布教部長が「今回のご修理では、本阿弥家伝来時の雰囲気を残そうと“大和仕立て”で仕上げていただきました。大変な作業に感謝します。総本山にふさわしい見事なお曼荼羅です」と謝辞を述べた。
最後に本遠寺の豊田貫首と妙了寺の飯島住職が「今改めて拝見し、新たな感激に包まれています。中尾先生をはじめ皆様方に深く感謝申し上げます」、「何百年に一度の機会にめぐりあえたことはとても有難く、日蓮宗の宝をこれからも大切に護持していきます」と、それぞれ感謝の意を表し、法要は終了した。
ご真筆曼荼羅本尊の調査・修理事業は引き続き進められ、法華経信仰の至宝は未来永劫に向けて護持・伝承されていく。

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