2005年1月20日号
「復興を切に願います」
日蓮宗総本山身延山久遠寺(藤井日光法主)では、1月13日、伝統の御年頭会が盛大に営まれた。
御年頭会は日蓮聖人の一年初めの月命日でもある正月13日に、門下一体となって久遠寺の棲神閣祖師堂で聖人の御魂に謹んで御年賀を申し上げる新春の重要な儀式。そのいわれは、聖人身延ご入山の翌年である建治元年(1275)の元旦、六老僧と開基檀越が御草庵に参集し、親しく聖人に拝したことに始まる。
当日は六老僧の系統である六門跡寺院の貫首、岩間湛正宗務総長をはじめとする宗務内局や宗門各機関の関係者、檀信徒約400人が参列した。
午前10時から、藤井法主猊下ご名代の井上瑞雄身延山久遠寺総務の導師による御年頭法要が営まれ、祖師堂前では古式ゆかしい「曳馬式」も行われた。手綱を引かれた二頭の馬に井上総務が人参を与え、快晴の空の下で参拝者は目を細めていた。
続いて身延山大学講堂に場所を移して新春祝賀宴が催され、藤井法主猊下が元気なお姿でお出ましになられた。
藤井猊下はお声の調子が思わしくないため、井上総務が脇でお言葉を代読。お言葉ではまず「昨年は天変地異に明け暮れた一年でした。被災された方々には心よりお見舞い申し上げます。またインド洋沖地震による大津波では心配が絶えません。スリランカにある三つの身延山別院は大きな被害はなかったと聞いておりますが、久遠寺からもいち早く現地へ人員を派遣しました。復興を切に願います」と打ち続く災害への思いが述べられた。
また、ご自身の体調については「少なからぬ回復の兆しがあり、皆さまに感謝申し上げます」と言及され、昨年いよいよ計画が実動した久遠寺五重塔建立に向けて「途絶えてはならないお題目の心を伝えていくために皆さまのご協力を」と決意を新たにされた。
お言葉は最後に「酉年は前進の年。混迷の世でも、人の命の尊さを伝え続けたい」と締めくくられ、参列者一同、さらなる祖山の発展を祈った。