日蓮宗新聞

2004年8月20日号

第50回日蓮宗保育研修山口大会

「みほとけの心を伝えよう~金子みすゞの世界を通して~」をテーマに第50回日蓮宗保育研修山口大会(主催・日蓮宗保育連盟=冨田義董理事長)が7月24日・25日、「若き童謡詩人の巨星」と称されながら26歳の若さで世を去った金子みすゞの生誕地、山口県長門市内で行われ、同連盟に加盟する保育園・幼稚園の園長・保母・教諭ら約二百五十人が参加した。児童文学者・矢崎節夫氏の講演、みすゞの暮らした仙崎見学を通して、参加者はみすゞの詩に貫かれた優しいまなざしに感銘を受けながら、保育の現場に生かそうと研修を深めた。
日蓮宗保育連盟は今年50周年。若者による凄惨な事件や幼児虐待が相次ぐ末法の現代、豊かな情操教育が見直される中で、誰もが「みほとけの子」として生命の尊厳を説く仏教保育の果たす役割は大きい。

はじめに下関市ひまわり保育園の保育士五人が、中央に掲げられたご本尊に献灯・献香・献花を行い、岩間湛正宗務総長が「法華経の教え、日蓮聖人の教えに従って仏子を育てる皆さんのお仕事は誠に崇高です。ご苦労も多いと思いますが、今後も充分に使命を果たしてください」と参加者を激励。その後、永年勤続者表彰が行われた。

二つで一つ
研修では、昨年みすゞ記念館の初代管長に就任した矢崎氏が講演。詩「朝やけ小やけだ大漁だ 大ばいわしの大漁だ はまは祭りのようだけど 海のなかでは何万の いわしのとむらいするだろう(『大漁』)」を紹介し、「浜にたくさんの魚があがった喜びと、海の中で多くの仲間を亡くした悲しみが同時にあったように、この世の中はすべて二つで一つ。昼と夜、光と影、目に見えないものと見えるもの、生きることと死ぬこと。現代は、見えるものに片寄った視点で生活している。みすゞさんに出会って、二つの存在を受け入れることで真理が見えてくることを気づかされた」と語った。

あなたと私
さらにみすゞさんは、命なきものにまっすぐに命を見つめ、「鰯と私」「あなたと私」のように、常に人間・自分が中心ではなく、相手を主体としたまなざしを持っていた。私たちは、子供がいなければ親にはなれない。園児がいなければ先生は成り立たない。「子と親」「園児と私」。誰一人として一人で生きていくことは不可能で、相手を思いやること、自分のまなざしを下げることで初めて相手のことを理解できると語った。
次に『こだまでせふか』を読み上げ、「ヤッホー」と言えば「ヤッホー」とかえってくる“こだま”は、相手を丸ごと受け入れることを表している。昔私たちの周りにいた大人は、子供が痛いと言えば「痛いね、痛いね」と受け入れたた後で「泣くのをがまんしようね」と言い聞かせていた。こだましてくれる人がいる限り、その人の心の中の寂しさや悲しさが一杯に詰まることはない。「憂いている側に人が立つと書く“優”とは、こだますること」と語った。

みんなの“倖せ”
 『私と小鳥と鈴と』の最後に登場する「みんなちがって、みんないい」は、丸ごと認めて傷つけないこと。「みすゞさんは決して人を否定しない。21世紀の幸せはイのついた“倖せ”。お友達が幸せだから私も幸せ。私が幸せだからお友達も幸せ。自分だけの幸せはありえない。仏教と同じ“あなたと私”のしあわせです」と結んだ。
続いて、山口県で活動する音楽家ちひろが「金子みすゞを唄う」と題して、詩に自ら曲をつけた唄を披露。透明な詩と澄んだ歌声の見事なコラボレーションが広がった。
25日は、早朝六時半に集合し全員で朝勤をした後、山口県青海島で安正保育園を運営する川久保昌耕師(妙法寺住職)が基調講演。日本一高齢化・過疎化・少子化の進んでいる状況を説明し、「環境に恵まれた宝の島で、法華経・お題目の縁を結ぶ使命を心に自分の幼稚園は絶対に続けます」と語った。お寺の裏山に誰もが気軽に立ち寄れる公園を作る予定だという。

仙先見学
続いて参加者は、バスで仙崎に移動。墓所のある遍照寺や、みすゞが暮らした金子文英堂跡に立つ金子みすゞ記念館などが並ぶみすず通りを歩きながら、みすゞの感じた波の音、潮の香り、風のそよぎを肌で感じた。
研修終了後、研修生を代表して高橋直子さん(宮城県はなぶさ幼稚園)が「今大会で学んだ“あなたと私”“園児と私”の心を大切に保育の道に励みます」と謝辞を述べ、2日間の研修を終了した。

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新年のご挨拶。

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