2004年7月1日号
現代人の心掴む唱題行脚
唱題行脚は、絶大な効果として日蓮宗の存在を広く世間に知らしめることができる。規則正しい行列、調子をあわせたうちわ太鼓の響き、繰り返し高らかに唱えられるお題目。集団で何かをする機会が少ない日常に突如として現れる行列は、修行の一環としてだけではなく、“撃鼓宣令 四方求法”、見知らぬ通行人にも導きを与えることとなる。
「第42回全国日蓮宗青年層秋田結集~伝える 未来への道そして和~」が6月10日に開催され、僧侶約220人が出席。秋田での開催は初めてで、今年のメインイベントとなる唱題行脚が町の注目を集めた。
結集に先立ち行われた代表者会議・総会では、新執行部(委員長=三浦海慧北海道小樽市妙光寺住職)の紹介にあわせ、従来の活動を継続しつつ、時代に即した新たな活動を進めていく決意が表明された。故人を偲びながら命の大切さを再認識してもらうために作成した「満中陰49日日めくり」やCD、教本の販売を継続し、加えて岩間湛正宗務総長が施政方針として挙げた“青年僧の資質の向上”を重く受けとめ、修養道場等で子どもの教化に力を入れるためにも、青年僧のための“行学道場”を立ち上げる意向が伝えられた。
三浦新委員長は所信表明で、「僧侶としての自覚を持ち、若々しく活力的にお題目を唱え、法華経のみ教えを明確に示すことが私たちの使命。切磋琢磨し、宗門発展のエネルギーになるよう、邁進していきましょう」と呼びかけた。
結集に際し、開会式では金光浄秋田県宗務所長が「命に関わる問題が仏門にあずかる者として急務とされている。個々の知恵と信用を持って、地域に根ざした活動をして下さい」と激励した。
また来年度の結集地は北海道札幌市であることが報告された。
「大勢の僧侶に驚き」
一行は午後3時半、白い手甲に脚絆という行脚スタイルに“日蓮宗”と書かれたハチマキを締め、ホテルを出発。藤浩一前委員長と三浦新委員長を先頭に二列に並び、約1時間にわたり唱題行脚を繰り広げた。
買い物途中に足を止めた若い女性は、「すごい。若いお坊さんがこんなにいるのは初めて見た。こうして見ると、若い人も捨てたもんじゃないと思いますね」と驚きの表情。
若さあふれる僧侶の列は、素通りする同世代の若者の心にもインパクトを与える。人数も多ければ多いほど、唱題の声を遠くまで届けることができ、大勢の目につく。人間関係の希薄さが危ぶまれる中、その地をしっかりと踏みしめ、大規模に行われる日蓮宗の唱題行脚には、現代人の心を掴む勢いが感じられる。