全国の通信記事
2020年12月12日号
山梨3 歳末助け合い唱題行脚
【山梨3】十二月十二日、山梨県第三部宗務所(岡本正富宗務所長)・同檀信徒協議会(横内正孝会長)は南アルプス市寺部妙遠寺(秋山義行住職)を出発地に毎年恒例の「歳末助け合い唱題行脚」を行った。
新型コロナウィルスの影響により、年内の管内行事は全て中止であったが、行脚を通して世界平和・コロナウィルス終息を祈願しようと例年より規模を縮小しての開催となった。
開催当日、出発会場となった妙遠寺には管内教師、檀信徒合わせて約四十名の参加者が集まった。
開会式では檀信徒協議会の横内正孝会長が挨拶し、「寒さ厳しい中、大勢の参加感謝いたします。お題目を通して一日も早くコロナウィルスが終息するよう共に祈りましょう。」と今回の行脚に対する想いを述べた。
今回の行脚では同地区のお寺二ヵ寺、泉能寺(米木義晧住職)実成寺(望月義文住職)にて休憩を摂った。
温かい御供養を受けながら約五キロメートル弱の行程を、二時間かけて練り歩いた。
唱題と団扇太鼓の音に誘われ、沿道には募金を寄せる近隣住民が数多く出ており、中には遠くの方から駆け寄ってくる方もいた。
多くの方の応援や励ましにより、参加者全員無事に歳末助け合い唱題行脚を終えた。
今回の唱題行脚で五二万五九六九円集まり、宗務所職員、檀信徒協議会役員の手により、公益財団法人「山梨YBS厚生文化事業団」へ寄託された。
2020年12月10日号
来年9月に久遠寺制作のオペラ公演決定
「日蓮の宇宙~曼荼羅世界~」
山梨県総本山身延山久遠寺は、オペラ『日蓮の宇宙~曼荼羅世界~』を来年9月28日に山梨県立県民文化ホール(甲府市)、29日に静岡市民文化会館、30日に身延町総合文化会館で公演する。同オペラは、同寺が展開する「共生共栄運動」の一環と日蓮聖人降誕800年慶讃記念として制作。台本を仙道作三さんと身延山久遠寺、作曲を仙道さんが担当する。発案した持田日勇総務は、日蓮聖人第700遠忌代に制作・演奏された「オラトリオ・日蓮」に関係し、また平成25年には散逸していた同作のスコアをまとめて再演を果たした実績があり、音楽を用いて日蓮聖人のご生涯を伝えることに情熱を注ぐ。
『日蓮の宇宙~曼荼羅世界~』は、江戸初期に久遠寺法主となった日遠上人と徳川家康の側室お万の方が案内人となって、「立教宣言」「日蓮の自覚」「霊山浄土・身延」の3幕の構成から、数々の法難に遭われながらも『法華経』の教えを弘め貫いた聖人のご生涯を顧みる物語。オーケストラはヴァイオリン・チェロ・シンセサイザーなどを用い、7~20人編成となる予定。作曲の仙道さんは、「『日蓮の宇宙』というタイトルは日蓮聖人の無辺広大な心、『曼荼羅世界』とは図に書かれた如来や菩薩、神々に守られる民衆の心を表しています。この2つの融合を表現し、グローバル化の波で失いつつある日本文化を見直してもらいたい」と意欲を見せる。日蓮聖人役は28日の甲府、30日の身延公演を渡辺大さん(東京藝術大学声楽科卒、同大学院修士課程〈オペラ〉修了)、29日の静岡公演を志田雄啓さん(同)が務める。
持田総務は、「今、私たちが伝えたいのは人びとに寄り添われ、語りかける日蓮聖人のお姿。誰よりも強いお祖師さま像は今まで伝えらてきましたが、それは一側面でしかありません。あがってきた台本を何度も書き直してもらい、仙道さんには苦労をかけましたが、大変満足のいく台本になったと思います。音楽を通してより日蓮聖人のみ心に触れてほしい」と新時代の日蓮聖人像を描くことに強い意志を示す。
内野日総法主猊下は、「時代を超えて共有することができる日蓮聖人の人情ゆたかな物語に仕上がっています。先の見えない時代、このオペラが世の中の新しい光となることを祈ります」と作品の可能性に期待を込められている。
◇ ◇
仙道作三氏=秋田県羽後町出身。集団就職で上京後、町工場で働きながら独学を始める。その後、東京芸大楽理科の柴田南雄教授に師事。仏教・古事記・地球環境などをテーマに交響詩やオペラを発表。『注文の多い料理店』で第3回宮沢賢治賞奨励賞、縄文ページェント『琴の湖』で毎日地方自治大賞奨励賞、自治大臣賞などを受賞。

アメリカ大統領就任式に思う
大激戦のアメリカ大統領選挙が終わり、次期第46代大統領候補にジョー・バイデン氏が選ばれ、明年の1月20日に就任式が催されるという。
この就任式では、必ず大統領が連邦最高裁判所長官の前で右手を挙げ、左手を聖書に置き宣誓する。そして、結びに「So help me God(神よ ご照覧あれ!)」と発する。その後に大統領の演説がある。
昭和36年(1961)1月20日、ジョン・F・ケネディ第35代大統領の就任式が行われた。ケネディ大統領の名言、「貴方の国が貴方のために何ができるかを問わないで欲しい。貴方が貴方の国のために何ができるかを問うて欲しい」という言葉で締めくくった。その冒頭には「荘厳な誓いの言葉を、皆さんと全能の神の前で誓った」と述べている。
私は平成13年9月11日同時多発テロが起きる2年前の9月、アメリカのニューヨークとオハイオ州を渡邉宝陽元立正大学長とともに訪れた。アメリカの宗教事情を調べるのが目的であった。コロンビア大学でバーバラ・ルーシュ博士と会い、英国聖公会の著名な神父とも言葉を交わすことができた。
そこで、私は質問した。『何故、大統領就任式で聖書に手を置かなければならないのか』と。『そうしないと国民が納得しない』という回答であった。私はまた尋ねた。『それでは大統領が仏教徒であったらどうなのか』と。『その可能性はほとんどないと思うが、多分、仏典に手を置くのではないか』と返された。
もちろん、アメリカでも政教分離であるが、大統領の就任式に拘らず、地方自治の首長の就任式にはさまざまな宗教者代表が招かれるという。
平成21年(2009)1月20日、有色人種として初めて第44代となったバラク・オバマ大統領は就任演説で、世界の宗教事情に触れた。キリスト教、イスラム教、ヒンドゥー教の名は挙がったが、仏教という名称は出てこなかった。
第45代ドナルド・トランプ大統領が誕生するにはキリスト教、殊にプロテスタント福音派の強力な支援があったという。
アメリカしかり、ヨーロッパに目を向けても、英国国会議事堂の後ろに聳え立つのは、英国聖公会ウェストミンスター寺院、あのダイアナ妃の葬儀が行われた場でもある。謂わば、国会の守護神ともいうべき存在であろうか。ドイツにおいても、今のアンゲラ・メルケル首相の支持政党はキリスト教民主同盟である。そして、登録した国民から所得税の8%から9%の教会税を徴収し、その財力が教会活動の原動力になっているという。
欧米では、キリスト教が政治、経済、学問、文化、教育、医学などとあらゆる分野で大きな影響を与えている。それだけ人々とキリスト教の間が近いということであろう。
平成21年10月26日、『立正安国論』奏進750年に当り、京都本山立本寺で「いのちのシンポジウム 二一世紀の仏教―危機と挑戦―」が催された。基調講演されたハーバード大学世界宗教センター所長故ドナルド・スェアラー博士は、私はキリスト教の神学者であり信仰者であるが、と前置きし、仏教は高邁で深遠な教理を有している。具体的ではないが法華経第二八章には「少欲知足」が説かれ、それを実践し先導するのが僧侶でなければならない、と訴えた。
かつての日本仏教は、人びと、民衆に寄り添い近かった。今は社会から隔絶した状態にあるといえる。日本の社会にその存在感を示す具体的な方策を今こそ示さなければならない。
(論説委員・浜島典彦)




















