論説

2023年11月20日号

『法華経』と「宇宙」

かつて人類は、地球が平らで、宇宙の中心だと頑なに信じ、異説を排除したり、駆除するという愚行を繰り返してきました。J・ブルーノはルネサンス末期に、地動説を説いたため火炙刑にされました。
宇宙が誕生し、138億年経ったといわれています。宇宙の中では、光の速度が一番早く、これを超えることができないので、宇宙の果ての最も遠い星も138億光年彼方にあると信じられてきました。そして果ての星がどこにあるのか競い合うように探索されてきました。しかし発見されたのは、280億光年離れた恒星や、実測値としては300億光年を超えてたりと、光速よりも速かったのは、空間の広がるスピードであったことが、理解され始めました。
法華経には「百千万億那由他阿僧祇劫」と時間の概念がありますが、宇宙が誕生する以前から現在観測できる世界を超え、未来を指し示す時間だったりします。宇宙に無限に広がる可能性の概念が盛り込まれています。
日蓮聖人の『種種御振舞御書』には、「江のしまのかたより月のごとくひかりたる物、まりのやうにて辰巳のかたより戌亥のかたへひかりわたる。十二日の夜のあけぐれ(昧爽)、人の面もみへざりしが、物のひかり月よ(夜)のやうにて、人々の面もみなみゆ。太刀取目くらみたふれ臥し、兵共おぢ怖れ、けうさめ(興醒)て一町計りはせのき、或は馬よりをりてかしこまり、或は馬の上にてうずくまれるもあり。日蓮申すやう。いかにとのばら、かゝる大に禍なる召人にはとを(遠)のくぞ。近く打ちよれや、打ちよれや、とたかだかとよばわれども、いそぎよる人もなし。さてよ(夜)あけばいかにいかに。頸切るべくわいそぎ切るべし。夜明けなばみぐるしかりなん、とすゝめ(勧)しかども、とかくのへんじもなし」とあります。
この〝光たる物〟は、球電現象やプラズマなどの自然現象とは考えにくく、眼がくらんだり、周囲にいた者たちの顔まで認識されています。また毬のように東南の方から西北の方に移動するのをご覧になっておられます。かつてUFO現象を調査し、スタンフォード大学のプラズマ研究所の所長などを歴任したP・A・スターロック教授に、この現象について意見を伺ったことがあります。「プラズマは、長時間発生できません。球電でも巨大な物は自然界ではあり得ない」と見解を示しました。また火球・隕石だと主張する人もいますが、仮にそうだとすると衝撃波に関する記述が見当たりません。続く記述には、今度〝衝撃波〟と思われる轟音と巨大な星が梅の木の枝に降りてきたと綴られています。
「天より明星の如くなる大星下りて前の梅の木の枝にかかりてありしかば、ものゝふども皆ゑん(縁)よりとびをり、或は大庭にひれふし、或は家のうしろへにげぬ。やがて即天かきくもりて大風吹き来りて、江の島のなるとて空のひびく事、大なるつづみを打つがごとし」と。
7月26日、元NRO(米国家偵察局)に勤務していた退役軍人のデビッド・グルッシュ氏は、米国議会下院安全保障委員会の公聴会で実に興味深い内部告発を行った。「これまで米国政府は90年間に渡り、非人類由来の航空物体(UAP・UFO)の残骸や、ほぼ無傷の機体と搭乗者の遺体を回収し、議会や国民に隠してきた。その決定的な証拠がある」と証言しました。
鎌倉時代の日蓮聖人の身に起こった奇瑞は、UFO現象として理解することができます。仏教学者の久保田正文先生が、「迹化他方来というのは、他の惑星のことだよ」と独り言のように語られていたことを今でも鮮明に覚えています。
(論説委員・高野誠鮮)

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2023年11月1日号

地域・家庭と伴走して養育支援

子ども家庭庁は、2022年度における全国の児童相談所が児童虐待の相談を受け対応した件数が、過去最多の21万9170件(速報値)であったと報じた。統計が始まった1990年度から32年連続の増加である。
児童に限らず高齢者や障害者への虐待もあとを絶たず、家庭や施設など閉鎖的空間で行われているため、周囲が虐待に気づきにくく深刻化していくケースが数多い。中でも孤立した家庭で子どもが犠牲になる事件は少なくはない。親自身が虐待の被害者である場合、負の養育体験は連鎖することも指摘される。
また虐待についての共有認識を問うとき、「虐待」の線引きはどこなのか、不適切と思われる養育や介護などのグレーゾーンの捉え方が議論となる。さまざまな場面で誰もが虐待の加害者にも被害者にもなる可能性を持つといわれる。
全国の各自治体では、虐待通報ダイヤルの設置や啓蒙活動を展開し虐待のない地域づくりを進めているが、個人情報や守秘義務などが障壁となり、虐待防止のために必要な情報共有が充分に図られていない。さらには、関係機関が複数ある場合、互いに相手機関の支援を期待し、対応が後手に回り、重大な事態を招くことにもなっている。児童相談所の人員を増やしても対応が追い付かない状況など社会構造上の課題も依然として残る。
しかし、自治体の体制が充実し始めたのも事実であり、民間団体による家庭訪問型の子育て支援、親子の居場所づくりといった取り組みも全国各地でみられるようになった。
山梨県甲府市遠光寺は身延山触頭の1つで河東之惣導師跡という由緒と共に、第44世の加賀美日聰師が昭和15年、社会福祉事業の推進のため山梨立正光生園を創設したことで夙に有名である。
令和3年4月1日のコロナ禍中にあって、社会福祉法人山梨立正光生園は、家庭における子どもの健全な養育を後押しするための包括施設「地域総合子ども家庭支援センター・テラ」を設立した。子どもの虐待や貧困が深刻化する中、次の世代への連鎖を防ぎ、安心して暮らせる家庭環境を整えるのが目的だ。
このセンターは、自宅に出向き養育や家事を援助する在宅支援事業を核に、「子どもの心のクリニック」「子ども家庭支援センター・テラ」「フォスタリング(里親養育包括支援)機関・テラ」「子ども家庭福祉ソーシャルワーク専門職養成」の4事業からなり、それぞれが独立した形ではなくすべてが一体となって包括的に子どもと家庭を支える。
加賀美尤祥理事長は、「家庭の問題として置き去りにされてきた養育を社会の問題として捉え直し、援助を実践していく必要がある。家庭と伴走しながら養育を支援していきたい」と語る。
また子どもと家族の問題に特化した診療を行う「子どもの心のクリニック・テラ」の奥山眞紀子院長は、今後の子育ては親だけが抱えるのではなく、地域での子育てが主流になると語り、子どもと家庭を包み込めるような地域支援を呼びかける。(令和3年9月4日・11月21日『山梨日日新聞』)
法華経の教え、日蓮聖人の教えによるならば、この娑婆世界は釈尊の輝ける浄土であり、み仏と私たちがともに修行する尊い場所と受けとめることができる。まさに生まれし「いのち」は慈光を享けて輝く存在といえよう。
「いのちに合掌」とは、自他の仏身を認め合い、掌に大切に包み込むように受け入れる生き方である。「いのち」の伴走者としてのハタラキがある所、「いのち」の共同体が生まれる。
(論説委員・村井惇匡)

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