全国の通信記事
2016年9月26日号
北海道東 教区檀信徒研修道場
【北海道東】平成28年度北海道教区(釋英照教区長)主催、東部宗務所(室伏見秀所長)主管による檀信徒研修道場が9月26日、27日に帯広市法華寺(内山智洋住職)で開催され、『お寺と檀信徒の役割 ~できることから始めよう~』をテーマに教区内僧侶・檀信徒約120名が参加した。
初めに池上幸保全国檀信徒協議会会長が『日蓮宗と檀信徒の目指すところ』と題して講演し、核家族化や後継者の都市部への流出などの現代、日蓮宗新聞やお寺からの案内なども活用しつつ、菩提寺の檀家という枠を超え、一人一人を日蓮宗の宗徒に育てていくことが重要であると語った。
続いて久富慈順北海道東部布教師会会長が「もっと知ろう日蓮宗~日蓮宗の本山を訪ねて~」と題して講義。日蓮聖人の足跡を辿りながら、総本山・大本山・由緒寺院の違いと成立の背景を語り、団参などの機会があれば、少し足を伸ばして訪れて欲しいと述べた。
翌日は「檀信徒が僧侶に求めること、僧侶が檀信徒に求めること」をテーマに、僧侶と檀信徒の代表者によるパネルディスカッションののち、参加者は各グループに分かれ、自身の悩みや菩提寺での活動紹介、信仰の継承方法について活発な意見交換を行った。
参加者の一人は、池上氏の「我々檀信徒はいつも『私は日蓮宗です』と言いながら生活をしているわけではない。しかし生き方を通じてお題目、法華経を体現していく事が大事なのではないか」という言葉が印象的であり、それを目指し私も頑張り、また研修道場があればぜひ参加したいと述べた。
島根・寺庭婦人研修会
【島根】 寺庭婦人会(岡本久美子会長)は9月26日、松江市長満寺(小林正康住職)で秋季研修会を行い、会員18人が参加した。
法味言上、記念撮影後、小林住職を講師に『お寺ってこのままで大丈夫?』~みんなで考えるお寺の未来~ と題したワークショップを行った。小林住職は、「人口が半分に減少する将来に向け、しっかりと寺を護持していきましょう」と結んだ。
2016年9月20日号
鎮痛薬と臨終正念
近年、がんの痛みのような強い痛みがある人に、医療用麻薬が処方されることがある。その場合、鎮痛効果によって痛みが抑えられると同時に、時には眠気が生じたり、傾眠傾向になり意識レベルが低下する場合もある。一方、信仰上は、人生の終末において心が正しくあること、すなわち臨終正念が理想とされる。痛みを取るための薬剤によってもたらされる傾眠と、臨終正念の相互関係についてどのように考えるべきであろうか。
これは現代的課題であり、経典やご遺文に直接的な回答を求めることはできないが、飲酒に関する仏教的な考え方に一つのヒントがあるように思う。
「お酒に心を乱されてはならない」(不飲酒戒)とは、仏教徒の心すべき戒の一つであるが、その理由は、お酒を飲むことによって心が放逸になり、慎むべきことも乱れがちになり、精励すべきことも怠りがちになり、いざ臨終に臨んで心乱れやすくなるからであるといわれる。
「仏が阿難に仰せられた。臨終の一念は、強くて猛烈であることは火のようでもあり、毒のようでもある。ささいなことではあっても、大きな影響を及ぼす。わずかにおこる一念も、強くて猛烈であるから、その結果の報いは速やかに受けることになる」(『大智度論』)と説かれているように、臨終に際してお酒の影響で心が乱れていたのでは、成仏が叶えられないことになる。
病気に対する酒の使用について、伝日遠の『千代見草』に次のような一節がある。
「身体の内に熱のある病人は、酒の飲めない人も酒を求めるものである。そのような時には、少しずつ用いるべきである。身体の内の熱にお酒の熱が加わり、自然に解熱するという効果が出る場合がある。あえて好むようであれば用いてもよい。分別功徳論の中に『祇園精舎に六年間患っている比丘がいた。優波梨がその比丘に、あなたの病に効く薬があれば、私が求めて与えようと尋ねた。その比丘は、お酒さえ飲めば回復するだろうと答えた。優波梨は、釈尊にお尋ねして差し支えなければたやすいことであると言って、釈尊に事情を話したところ、釈尊は、私の禁制する飲酒戒とは病人に求めるものではない、薬として与えるならばよろしいと仰せられた。そこで優波梨は酒を求めて比丘に飲ませたところ、病がやがて回復した』とあるように、薬になる場合は与えてもよいが、薬にならない酒は与えてはならない」と。
これはお酒についての話であるが、痛みを取り除くための鎮痛薬の場合にも同じように考えることができるのではないだろうか。つまり、お酒を飲みすぎて心が乱れることは仏道修行にとって障害になるが、同じお酒であっても病気の治療に有効な場合は用いてもよいのと同じように、鎮痛薬についても、心が混乱するような強い痛みを取り除くために使用する場合、副作用に細心の注意を払って用いることは、仏道修行の障害に結びつかないと考えることができるのではなかろうか。
近年開発されたオピオイド鎮痛薬は医療用麻薬と呼ばれるが、「麻薬」と言っても、覚せい剤や大麻などのような違法な薬物ではなく、がんの痛みのような強い痛みがある人が使用した場合には中毒にならないことが証明されている。また、医療用麻薬は、痛みが弱くなれば徐々に量を減らして、最終的に服薬を終了することも可能である。「一度使い出したら決して止められない薬」ではない。
耐え難い痛みを取り除く鎮痛薬の使用は、臨終正念に反しないと考えたい。
(論説委員・柴田 寛彦)




















