オピニオン

2019年8月10日号

あるがままに

 最近テレビのニュースを聞いていて、以前より随分口調が早いと感じるようになった。アナウンサーは1分に300文字読むという。一般的な会話は350文字だ。ということはコラム子の聴覚が衰えたからだろうか▼先日、ホテルでエレベーターに挟まれてしまった。よりによってわが身に起ころうとは想像だにしなかった。降りる人を待ち、乗り込んだ時に見事に左右の腕を体ごとはさまれた。ほんの少し痛かった。決して歳のせいで動きが鈍くなったわけではない。と、思いたい▼ある地方の街で人気作家の講演会があった。100席ほどの会場に10人余りしかいなかった。作家は不快そうな態度のまま話し続け、早々に会場から姿を消した。逆にある落語家は同じような状態のとき、懐からカメラを取り出して、壇上からお客さんをパッと撮って笑いを誘った。「この会はこれ以上少なくなることはないから記念に撮りました。これから一緒に増やしていきましょう」。これにはお客さんを笑わせただけでなく、主催者を泣かせた▼ありのままに捉えるということを、法華経は教える。現実をそのままに受けとめ、考え行動し相手の心を汲む。心運びの妙であろうか。河合隼雄氏は「生じてきたすべての事象をわがこととして引き受ける力」が大人の条件だという▼寛容性が失われつつあるいま、相手を受け入れる合掌の心がますます輝いてくる。(汲)

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お盆は先祖と子孫の出会いの日 ―過去に感謝し、未来を祈ろう

 お盆は私たち仏教徒にとって、1年中で一番大切な行事。
 その大切なはずのお盆の意義が、現代にあっては、だんだんと認識されなくなっていることに大きな危惧を抱く。
 信仰心があろうとなかろうとお盆の休暇を楽しみにしている人は多い。それを悪いというつもりはない。ただ思い出してほしいのは、その休暇を待っているのは生きている私たちだけではないということである。
 誰よりも、この時を待っているのは、ご先祖さまという考えを昔の人は持っていた。ご先祖さまにとって1年に1度だけ里帰りできる日、それがお盆だと教えられ、長い間、その伝統行事を守ってきた。
 ところが最近では、ご先祖さまがお帰りになっても、子孫の人たちは旅行に出かけ、家は留守というケースが増えている。これでは、ご先祖さまは帰る所がなく、難民になってしまうのではないだろうか。何年たっても、お詣りがなく、線香の1本も立っていないお墓や納骨壇を目にするにつけ、そんな思いを強くする。
 そう言っても、それは古い考え、坊さんの屁理屈だと、今の人たちはなかなか耳を貸してはくれないかもしれない。だけど、坊さんがご先祖さまに代わって、その悲しい気持ちを訴えなければ、誰もそれを知ってはくれないだろう。それならば、この際、はっきり言わせてもらおう。ご先祖さまを難民にすれば、子孫は流民になってしまうと。私たち日本人は、ご先祖さまを大切にしてきたからこそ、今日に至るまで国体を維持することができているのである。そのことを忘れてはなるまい。
 時代は令和と元号が改まり、我が国は、歴史の新しい歩みを始めている。そんな中にあって私には、強烈にそれを意識させられた出来事があった。それはいよいよ時代が変わるという平成31年の4月30日のこと。天皇陛下が宮中に設えられている三殿に衣装を整え、古式に則り、退位の奉告をなさったことである。
 三殿とは、皇室の祖神、天照大神をお祀りする賢所が中央に位置し、その西側に歴代の天皇をお祀りする皇霊殿、そして東には天神地祇、国内の八百万の神が祀られている神殿のことをいう。陛下はその順に三殿を参拝なさり、私はそのお姿をテレビで拝見させてもらった。そしてその時、ふと思い浮かんだのは、象徴という言葉だった。
 この言葉は、陛下ご自身が、「日本国の象徴として」と幾度となく口になさっている。辞書で調べてみたら、この言葉は、シンボルの訳語で明治時代にできたものだとか。その意味は、抽象的な精神内容を具体的な事物によって連想させることとだけ説明してあった。
 それならば、陛下はご在位中、象徴というという言葉を体現するにはどのようにすればよいかと考え続けてこられたことだろう。背中の丸まった陛下のお姿を拝すれば、ただ、「ご苦労さまでした」と申し上げるほかない。そんな陛下のお気持ちを、そのままに汲み取ったのが三殿の神々だったのではないだろうか。
 そう思い至った時、仏教には帰依・帰命という言葉があることに気がついた。
 この言葉は、ナーム(南無)というインドの言葉を意訳したもの。陛下は帰るべきいのちの故里のことを思い、未来の世の安穏ならんことを祈って、この儀を納められたに違いない。
 そんな陛下の気持ちにならい、お盆を迎えたい。8月15日は不戦を誓う終戦記念日でもあるのだから。
(論説委員・中村潤一)

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ご先祖さまに「おもてなし」

 東京オリンピックを1年後に控えた今年、茨城県では国民体育大会、通称「茨城国体」が開催されます。大会の基本方針は、「誠意とまごころを持って来県者に接し、全国に茨城の魅力を発信する」です。大会に参加する選手はもちろん、観戦の人にも気持ちよく来ていただき、気持ちよく帰っていただけるように、心のこもった待遇を目指しています。まさに東京オリンピック招致で話題になった「おもてなし」の心です。これで都道府県の魅力度で例年最下位の茨城の順位が少しでも上がればという期待も込められています。
 おもてなしの心とは、見返りを求めず、相手を敬い、ホスピタリティの精神でお迎えすること。これは何も生きている人に対してだけではありません。ご先祖さまに対しても同様に、いや、それ以上に心もこもった「おもてなし」をしたいものです。お盆には形はもちろん、心の部分もしっかり準備をしてご先祖さまをお迎えしましょう。
(茨城県布教師会長・横川和克)

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新年のご挨拶。

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