ひとくち説法
2025年8月1日号
食べ物にも敬意を
「漫然と口にモノを運ぶな。何を前にし、何を食べているのかを意識しろ。それが命を食らうものに課せられた責任、義務と知れ」。このセリフは、私が好きな格闘マンガ、『バキ』の1シーンで語られるものである。
日本では、米一粒にも宿っている神さまに「頂きます」と手を合わせて感謝することで結界が解かれ、神代の世界と俗世であるこの世界に橋が架かり、栄養とご神気を頂戴できると考えられていた。ご神気とは、元気、やる気、根気という生命活動の源となるエネルギーだ。
そんな大切な食事が、スマホ片手にただ口に漫然とモノを運ぶ作業になってはいないだろうか。お経には、「六根清浄」という言葉が度々登場する。これは人間の五感(視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚)と心(意)を清らかにすることを意味する。食事も五感で味わい、心が清らかになるよう努めなければ食べ物に失礼である。(京都府1部布教師会長・三木天道)




















