ひとくち説法
2021年8月20日号
心穏やかに
近年はコロナウイルス、自然災害、異常気象などにより、普通の生活ができない人も多いのではないでしょうか。ニュースでは、苛立った人が起こすトラブルが連日、報道されています。人間は普通の生活ができなくなるだけで心は揺れ動き、荒み、不安になりますが、このような時こそ人生を学んでいる時かもしれません。投げやりにならず、思い通りにいかないからと愚痴をこぼさず、前を向くことは容易にできることではありません。心の揺れを止めて無心になるにはどうすれば良いでしょうか。その1つの方法として写経があります。
写経とは仏教における修行の1つです。心穏やかに墨を摺り、下りた粒子の香りを感じながら、静かな空間でゆっくり丁寧にお経を書写します。
ただひたすらに写経をすることで冷静に自己と向き合い、心のゆとりを得られることと思います。
どうぞ皆さまも写経を体験してみて下さい。
(千葉県東部布教師会長・張田富田)
2021年8月1日号
嘆かず、諦めず
新型コロナウイルスが発生してから1年半以上が経過し、感染しない・拡散させない、自身のみならず、大事な家族や友人、縁ある人びとの命を守るために緊急事態宣言やまん延防止措置が発令されました。が、しかし、未だに収束の兆しが見えず、予断を許さない状況が続くなか、嘆きや諦めの声を聞くことが多く感じられます。
日蓮聖人は『富木殿御書』で「一般世間の様子を見ても、賢人といわれるような人は、平安な時であっても常に危難を忘れずにいて注意を怠らず、凡人は危険な状態におかれていても、安楽なことだけを願い、かえって身をほろぼしてしまうものである」と危惧され書き著し、お釈迦さまは法華経の中で「諸願虚しからじ。亦現世において其の福報を得ん」と示しております。
法華経・お題目にご縁をいただき導かれる私たちに何時如何なる状況でも、嘆き諦める心ではなく「亦、福報を得ん」と祈る心で過ごしましょう。
(神奈川県第3部布教師会長・下津行輝)