ひとくち説法
2017年7月20日号
信行の力
20年ほど前に授戒した信士が新盆を迎える。先代の信徒として長年夫婦共々の信行を重ね、70歳を前に共に法号をいただく。夫婦は元々の持病と大病のため、治療養生を欠かすことができず、互いを労わりながら、信行を大切に、ご守護を信じ、片道1時間の田舎道を運転して寺の行事に準備から参加、従容として奉仕する。
6年前の1月、信頼してきた先代が遷化、3月には東日本大震災で自宅は全壊、避難所暮らしとなり体調を崩す。今後の相談の中で、かつて卒寿を過ぎ大腿骨を骨折した信徒が「もう1度、題目講の太鼓を叩きたい」の一念で力をいただいたことを話す。信行の継続を重ね見て選択した道には、湧く力があることを尊く思う。思慮の末、老夫婦は家を再建し、寺へは孫が幼子を乗せて2往復(4時間)し、祖父母の信行を助けた。昨年お会式月に元気に参拝、皆に信行の姿を留め霊山浄土に赴く。
(茨城県布教師会長・長谷川玄應)
2017年7月10日号
合掌で非認知能力アップ
私たちが子どもの頃、「そんなことをすると、バチが当たるぞ」とか「ご先祖さまが見てるよ」などと周囲の大人からよく注意されました。現代では「子どものすること」として、親がいても注意もせずに自由奔放に飛び回る様子が見受けられます。もちろん子どもの活動を制限したり、「あれはダメ、これもダメ」とするのが良いとも思いませんが、ちょっと疑問を持つ時もあります。最近幼少期に獲得すべき能力として非認知能力が言われています、これは物事を成し遂げるために自分自身を自制する力と言われています。今懸命に子育てをされている方、そのおじいちゃんおばあちゃん、その非認知能力を育てるためには、菩提寺のご本尊さま、家庭にあるお仏壇、ご先祖さまのお墓に、お子さんと一緒にお参りしましょう。非認知能力がアップします、功徳…その拝む後姿が、その合掌が「そんなことをすると、バチが当たるぞ」を実感できるからです。
(群馬県布教師会長・田代経量)
2017年7月1日号
真にたよるもの
将来の生活や健康への不安、北朝鮮の核開発や戦争への不安、IT・AIなど社会環境の急速な発展からとり残されるのではという老いへの不安とさまざまな不安を感じながら生きています。
そのような人びとに日蓮聖人の次のようなお手紙の一節を送ります。「苦をば苦とさとり、楽をば楽とひらき、苦楽ともに思い合わせて、南無妙法蓮華経とうち唱へ居させ給へ。これあに自受法楽にあらずや。いよいよ強盛の信力をいたし給へ」(『四条金吾殿御返事』)。「苦しいことは苦しいこととしてそのままに受けとめ、楽しいことは楽しいこととして受けとめて、そのたびに嘆いたり、ぐちったり、あるいは喜んで浮かれたりせずに、苦しい時も楽しい時もすべては仏さまのはからいと受けとめて、ただ南無妙法蓮華経とお題目を唱えていけば、毎日毎日が苦しかろうと楽しかろうといつでも晴れ晴れとした気分で生きていける。だから一層の信心にはげみなさい」。
(埼玉県布教師会長・齋藤純孝)