ひとくち説法
2019年6月10日号
回向の心
「情けは人の為ならず」という諺があります。
昨今では多くの方が「情けをかけるのはかえってその人の為にならない」という間違った意味で覚え、使っているのが大半と文化庁の調査で分かっております。本来の意味は「人に情けをかけることは、巡り巡って自分に帰ってくるのですよ」という意味であります。
なるほど、お釈迦さまも同じことを仰っております。「回向というのは自分自身のためにするのではない。自分の行った善行を、他人に勧め施すことを言うんだよ」。誰かのために行う善行は自らの心を磨く手段であります。日蓮聖人も「深く信心を起こして、日々に南無妙法蓮華経と唱えることが心を磨くことだよ」と仰っております。
日常における1つひとつの行い全てが、法華経に通じているのです。その気持ちを持って人に接していれば、必ず自分にその善い行いが帰ってきます。今日も一緒にお題目を唱えて生きましょう。
(千葉県東部布教師会長・張田富田)
2019年6月1日号
合掌礼拝
Aさん一家のお墓参り。花、線香を供え全員で静かに合掌礼拝。「今日もお参りできて良かったね。また来ようね」とお参りを終えたその時、「ボーッとお参りしてんじゃねーよ」と天から5歳の女の子ならぬ、ご先祖さまのお叱りの声が。なぜAさんはご先祖さまに叱られてしまったのでしょうか。
それは肝心なものがなかったからです。それは「南無妙法蓮華経」のお題目をお唱えすること。ご先祖さまはお花や線香よりご家族が唱えるお題目を何よりもお待ちだったのです。
私たち日蓮宗は南無妙法蓮華経とお題目をお唱えし、仏さまを供養し自身の心を磨き、世界中が幸せになることを目的としています。
小さな子どもに「お題目を唱えると仏さまが喜ぶよ」と教えると大きな声で唱えます。しかし大人になるとどうでしょうか。どうか一寸だけ勇気を出してお題目を声に出してください。仏さまはあなたのお題目を楽しみになさっているのですから。
(神奈川3部布教師会長・上谷泰雅)