ひとくち説法
2024年8月20日号
謙虚さは人生の指針
『平家物語』の冒頭部分に「驕れる者久しからず。ただ春の夜の夢の如し」とあります。
「驕り高ぶる者は長続きしない。ただ春の夜の夢のように儚いものです」という意味で、諸行無常、盛者必衰の無常感を、仏教的な人生観から述べた有名な一文です。
誰しもが身の回りに驕り高ぶる人が幾人かいます。しかし鼻持ちならないと思っていても、生活のかかっている組織のなかでは悲しいかな諫めることは容易にできません。
日蓮聖人は『爾前二乗菩薩不作仏事』で「自惚れ」の心を抱いてはいけません、とご教示されました。
自惚れ、驕り高ぶったところで、利害関係がなくなれば、誰からも相手にされない「ただの人」へと奈落します。周りから疎んじられ、陰口を叩かれることのない人生を送るためにも、常に謙虚さと尊厳を持った毎日をお過ごしください。(山梨1部布教師会長・町田英昭)
2024年8月1日号
めんどくさい
「めんどくさい」。つい思ってしまうこの人生最大にして最強の敵に、立ち向かっていくことも仏教の大切な修行ではないかと思うのです。
昔の私は「めんどくさい! 明日やろう!」とやるべきことを後回しにしてきました。しかし、今日やらなかったことを明日やるわけがありません。むしろ、時間が経過することにより、かえって「めんどくさい」ことになっていることもしばしば。気付いたら手遅れになっていたことも。そんな私がある日、先輩から「今日やっても、明日やっても大差がないことはすぐにやるべし! それが良い仕事の秘訣!」と教わったときは、目から鱗が落ちました。先輩のその一言のお陰で〝仕事の早いめんどくさがり〟になれました。「めんどくさい」と思っとたときこそ、仏祖からの試練の瞬間で、「何も考えずに一生をただ虚しく過ごして、後で悔いを残すことがないようにしましょうね」というメッセージなのかもしれません。(栃木県布教師会長・野澤智秀)