ひとくち説法
2013年4月20日号
お題目の木
日蓮聖人が清澄寺旭が森にてお題目を唱えられて760年。今年も4月28日に立教開宗会を迎えようとしております。
その清澄寺境内には樹齢千年と言われる大杉が堂々と立っております。近年では樹木医による養生の手を借りてはおりますが、連綿と命を繋ぎ今年も青々と茂ることでしょう。
さて、ここに「お題目の信仰」という一本の木があるとしましょう。そうすると、お題目を信じて行い唱える私たちは、さしずめその木の枝葉でしょうか。お題目を行じ唱えて一生を終えると枯れ葉となって木の根元に積もり、その功徳は肥やしとなって木を成長させ新しい枝葉を茂らせます。幾年幾年も繰り返し、やがて木は枝葉が茂り雄々しき大木となり世界を覆うことでしょう。
法華経・お題目を信じて行い唱える私たちは、お題目の信仰を孫子に継承するだけではなく、自らの回りの縁ある方々へも伝えましょう。
千葉県西部布教師会長 山本 隆真
2013年4月10日号
異体同心
生きとし生けるものを、永遠の命をもって救ってくださるお釈迦さまに、私たちは心を同じくして、感謝のお題目を唱える。これを「異体同心」といいます。
言葉で言うのは簡単ですが、いざ「心を同じくしましょう」と呼びかけても、皆どのような心持ちに統一したらよいのか悩んでしまいます。
日蓮聖人は、「日蓮と同意」あるいは、「水魚の思いをなして」お題目をお唱えしましょうとおっしゃっています。
すなわち、すべての人が、日蓮聖人と心を同じくすれば、おのずと「異体同心」となります。そして、日蓮聖人を通して、法華経、お題目を学び、正しく信仰することで安穏な世界が実現するのです。
このご恩に感謝し、ともにお題目をお唱えしましょう。
千葉県東部布教師会長 長谷川雄一
2013年4月1日号
道に生きる「名」
「親からもらった名前があるんだから戒名なんかいらないよな」街中で葬儀の帰りらしき人たちからこんな会話が聞こえてきました。
今年1月、元横綱大鵬の納谷幸喜さんが亡くなりました。相撲史上最多となる32回の幕内優勝を成し遂げ「昭和の大横綱」とまで呼ばれました。師匠の二所ノ関からつけてもらった大鵬という四股名は納谷さんにとっては相撲力士としての戒名・法号だったのではないでしょうか。
土俵の中でも外でも昭和の大横綱として振舞った納谷さん。道を極めようとするなら覚悟が必要です。その道に生きる者にとって名前は覚悟の証、おおきな拠り所になります。
私たちは「お題目を身と心で唱え、成仏をめざし精進します」と覚悟し日蓮さまと約束したのです。手を合わせている時だけが仏弟子ではありません。「所作仏事」そのことを忘れないためにも今日も心からのお題目を唱えましょう。
神奈川県三部布教師会長 上谷 泰雅